嵐来たりて

2/4
前へ
/122ページ
次へ
その日の朝は、いつもと変わらなかった。 何となく気分で、味噌汁を卵スープに変えてみたりはしたが、気分任せなのもいつも通りだ。 つけたテレビでは、今日は午後から雨が降ると流れてきた。 鞄に入れた折り畳み傘を確認する。 昨日はみけ子さんと昼寝が出来たし、今日が雨でも問題は無い。 親代わりには、俺と話してくれる奴が出来たとだけメールで送った。 友達はまだ出来ないが、クラスメイトとあれだけの時間話せただけでも進歩だろう。 大概は怖がって用事だけ伝えた後、直ぐに去って行ってしまう。 あいつは、少しビビってはいたが、それでもしっかりと会話をしてくれた。 たったそれだけなのに、柄にも無くテンションがあがってしまったのだ。 あいつは所謂ムードメーカーと言うもののようだが、あいつ自身は何故か一人でいる事の方が多い様だった。 だが、誰とでも気さくに話すあいつはやはり、その分友達も多い。 ……友達。俺にも、友達になってくれる奴はいるのだろうか。 赤いピアスを握り締め、そっと未来に思いを馳せた。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2026人が本棚に入れています
本棚に追加