2026人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の朝は、いつもと変わらなかった。
何となく気分で、味噌汁を卵スープに変えてみたりはしたが、気分任せなのもいつも通りだ。
つけたテレビでは、今日は午後から雨が降ると流れてきた。
鞄に入れた折り畳み傘を確認する。
昨日はみけ子さんと昼寝が出来たし、今日が雨でも問題は無い。
親代わりには、俺と話してくれる奴が出来たとだけメールで送った。
友達はまだ出来ないが、クラスメイトとあれだけの時間話せただけでも進歩だろう。
大概は怖がって用事だけ伝えた後、直ぐに去って行ってしまう。
あいつは、少しビビってはいたが、それでもしっかりと会話をしてくれた。
たったそれだけなのに、柄にも無くテンションがあがってしまったのだ。
あいつは所謂ムードメーカーと言うもののようだが、あいつ自身は何故か一人でいる事の方が多い様だった。
だが、誰とでも気さくに話すあいつはやはり、その分友達も多い。
……友達。俺にも、友達になってくれる奴はいるのだろうか。
赤いピアスを握り締め、そっと未来に思いを馳せた。
最初のコメントを投稿しよう!