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『い』だから思いのほか早く順番が回ってくる。
教卓に行く間に、目が合ったヤツが小さく悲鳴を上げた。
それを無視してクジを引く。
折りたたまれた紙を開くと、……そこには『代表者』の文字が。
「どうした? 結果は?」
「当たり」
「ええーー!!!」
担任の質問に答えると何故か伊地知が奇声をあげた。
まわりのヤツらも顔を引き攣らせている。
担任と揃って首を傾げてしまった。
「なんだ?」
「なんだって、先生! Fクラスですよ! その、大丈夫なんですか?」
ああ、なるほど。不良のクラスに行って喧嘩でもしないか心配なんだな。
「じゃあ、お前が代わりに行くか?」
「なんでもありません」
「よし。じゃあ犬甘、案内は明日の2時間目からだ。案内し終わったら帰ってもいいぞ?」
「はい」
「お前らも異論はないな?」
「「はーい」」
半ば強引に話を終わらせられた。
まあ、クジの時点で文句は無いが。
自分の席に戻って溜息を吐いた。
面倒なことになってしまった。運には意外と自信があった筈なんだがな。
担任の話を聞き流しながら、明日のことについて頭を抱えた。
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