部活?帰宅部に決まってる。

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部活動紹介の為、馬鹿みたいに広い体育館に移動した。 椅子に座って開始を待つ。 「ねえねえ! 今日は風紀の皆様見られるかな?!」 「風紀は委員会だから無いんじゃない?」 「えー! うっそ!」 「でも、サッカー部の人とかかっこいい人が多いらしいよ!」 「え、本当!? 楽しみだね!」 「楽しみだね!」 男子高校生なのに今の会話に違和感が無いのは何故だろうな? 「ぐふふふふ! チワワも王道! 王道学園万歳!!」 伊地知だったか。二年からの外部生だったな。 いつもこのテンションなのか? よく疲れないな。 隣のヤツを観察していると、突然カシャンと、音を立てて体育館の照明が消えた。 「皆さんお静かに。これより部活動紹介を開始します」 壇上にいつの間にか生徒が立っていた。 ……一瞬の静寂。 俺は咄嗟に耳を塞いだ。 「「「キャアアアアァァァァーー!!!」」」 「グぁ……!」 「副会長様ー!」 「なんて麗しい!」 「抱かせろー!」 「きゃっ! こっちを見てくれた!」 「見たのは僕の方だよ!」 「罵ってくれー!」 「キター! 腹黒副会長!! って、だ、大丈夫ですか!?」 しまった。久しぶりすぎて高性能耳栓を寮に忘れてしまった。 み、耳がぁ! 「おおか、じゃなくて、犬甘くん大丈夫!?」 おおか? ……とりあえず心配してくれた伊地知に頷く。 ほっとしたような表情を浮かべているが、お前の叫びもダメージに入ってるんだからな。 「静かにしないと、潰しますよ?」 ニッコリと、黒い笑みを浮かべる副会長。 叫んでいたヤツらが全員顔を真っ青にした。 ……真っ赤にしているヤツは見なかったことにしよう。
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