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「教えてくれてもよかっただろ」
「悪い」
前は会わせろと言われるのが嫌だったが、今は利刀を見て目をキラキラさせる姿を見たくない、と思ってしまうが……、恋人を喜ばせたいと思う気持ちもある。
「今度、従兄に頼んでみるから」
「期待してっからな」
目をキラキラさせて。なに、その反応は。拗ねるぞ、俺。
「嬉しそうだな」
「言っておくけど、会えるのは嬉しいけど、総一さんが一緒だから、だぞ」
秀次が、気持ちを浮上させるようなことを口にする。
「まったく。お前は可愛いことを言ってくれるなぁ」
秀次を後ろから抱きしめ、首のあたりに顔を摺り寄せると、そのまま身を預けてきた。
それが嬉しくて、喜びをかみしめる。
「イチャイチャタイム」
「なんだ、その恥ずかしネーミング」
「いいだろう、二人きりなんだし」
秀次の温もりと匂いをかいでいたら、もっと触りたくなってきて、ボタンのシャツを外し始めた。
「で、なんで俺のシャツのボタンを外すんだ?」
手を掴まれて、止められてしまう。
「上半身を描こうかと」
本当は触りたいだけなのに、そう言えば大丈夫かとズルい考えをしつつ、傍に置いてあるスケッチブックを広げて見せる。
後頭部の後に弁当のおかず、食いかけのパン、俺の手、唇、シャツの隙間から見える鎖骨……、あ、これはたまに見える鎖骨が厭らしくて、思わず描いてしまったわけだ。
「なんだよこれ」
「え、秀次の手に、唇に、鎖骨、今日はここを」
と服の隙間から手を入れて胸を撫でる。
「おぉい、誰が触ってイイといった?」
「ん、目の前にあったら触るだろ?」
特にここ、な。俺は胸を揉んだ。
「総一さん、無い胸を揉むのヤメて欲しいんですけど」
男も感じると冬弥は言っていたが、秀次は感じないのか。
「弄っているうちに良くなるって言っていたんだけどな」
「へぇ、それって自分ので試したのか? それともそういう相手がいたのかよ」
ん? もしかして妬いているのか。秀次以外の男にさわりたいとか思ったことは無い。
ここは誤解のないように、
「冬弥が言っていたから」
と口にすると、秀次がホッと息をはいた。
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