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美術室の先輩(秀)
自分が気になる女子と仲良くなりたいが為に、クラスの中心人物である神野と上辺だけの友達でいた。
だが、そんな関係は長く続かなかった。
神野は上辺よりも深い友情を手に入れ、俺達から離れていった。
女子の恨みは本人ではなく別の相手へと向かい、俺は女子の気をひくことばかり考えていたから、そうなった原因である男をどうにかしてお欲しいと甘えられて、調子に乗って痛めつけてやろうとしたわけだ。
その相手は俺と似た体格をした目つきの鋭い、悪い噂が絶えない不良の葉月悟郎だ。
俺はアイツが気に入らなかったので、シメるのに丁度イイと思っていた。
挑発しようと話しかけたが、無視をされた。それにムカついて手を出したのは俺の方からだ。弁当の中身を床へとぶちまき、上履きで踏みつけた。
しかも元々汚い上履きなのに、汚れたと言ってそのまま背中を蹴とばしたのだから、流石に葉月もキレた。
葉月は喧嘩慣れをしていたし、想像以上に強かった。俺らは簡単に伸されてしまったわけだ。
それはすぐに教師に伝わり、結果、あいつだけが停学をくらい、俺達には何もお咎めがなかった。
まぁ、向こうはほぼ無傷、俺達の方が酷かったからな。
その時は負けてしまったのが悔しくて、いい気味だと思っていたのだが、
「全てを吾朗のせいにしたことは許さないから」
と神野に冷たい目で見られた。普段は人良さそうな顔しか見たことがなかった。
葉月がそんなに大切なのかと、その時は神野に対してもムカついた。
これで葉月は居場所をなくすだろう。それでなくとも良い噂を聞かない奴だ。
だが、俺の思った通りにはならなかった。
「私たちは関係ないからね」
彼女達はそういって俺らをシカトするようになり、クラスメイトはよそよそしくなった。
停学が明けて戻ってきた葉月は嫌われるところか受け入れられていく。
しかも、いつの間にか俺が全ての原因で、卑怯な手を使い葉月だけを停学にしたということになっていた。
その通りなので反論もできず、いつの間にかつるんでいた二人も傍に居なくなっていた。
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