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「守ってあげたいと思いました。僕の傍で笑っていて欲しいと思いました。香澄さんがどうしても欲しいんです」
一生の脳裏に浮かんだ女性は今よりも少し若い香澄だった。あの時から忘れることのないその顔。
一生は自分に合わせて足を止めていた牧瀬に言う。
「行きましょう!ラーメン」
「よく分かんないけど、そんなに必死ならがんばれよ」
パン!と牧瀬は一生の背中を強く叩いた。
「牧瀬くん、痛いですよ」
「応援してやるから、ラーメンは桐山が奢ってね。よろしく!」
パチッ……牧瀬は相手が男であってもウィンクをする。それを受けた一生は鳥肌を立てるが、笑い返す。
「じゃあ、香澄さんが僕を見てくれるように協力をお願いしますね」
「了解!」
笑いながら歩くふたりは先ほどまでいがみ合っていたのが幻に見えるくらい仲の良い同期の姿であった。
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