迷惑な求愛

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今日の会場はイタリアンレストラン。香澄は佳菜子と駅で待ち合わせをして、一緒に入店した。 「香澄、佳菜子、久しぶり!」 「うん。真弓(まゆみ)も有香(ゆか)も久しぶりだね」 今日の合コンは男女ともに四名ずつで女性側は大学時代のサークル仲間で集まっていた。男性側は有香の勤めている会社の取引先の人たちである。簡単に自己紹介を済ませ、まずは隣りに座った者同士で話を始める。 どんな合コンも大体同じような流れだ。しかし、香澄も佳菜子も近くに座った男性と話はするものの、盛り上がりには欠けていた。 「今日も大した収穫ないね」 「うん、何かつまらないよね」 同じタイミングで席を外した香澄と佳菜子はトイレでメイク直しをしながら、まだ終わってない合コンにダメ出しする。目ぼしい男がいなく、今夜は無駄な時間を過ごしてしまったことを嘆く。 予定通り二時間でお開きとなった。盛り上がりに欠けたから、二次会に進むことなくあっさりと別れる。 香澄と佳菜子は飲み直すことにして、気軽に入れる居酒屋に入った。週末で混んでいることもあり、カウンター席に案内される。 盛り上がらない合コンは疲れただけだったから、ふたりは「お疲れー」と中ジョッキを掲げて乾杯した。 ゴクゴクと喉を潤した時、隣に誰かが来る気配を感じた。香澄の隣にはふたつの席が空いていた。 「こちらの席でよろしいですか?」 「はい」 店員に案内された客が座る。スーツ姿の男性の姿が視線の端に入るが、顔を確認しないで香澄は届いたばかりのチーズ揚げを口に入れた。 「あれ?もしかして、香澄ちゃん?」 香澄は突然顔を覗き込まれて、少し体を後ろにずらす。チーズ揚げが喉につまりかけた。覗いてきた顔は見たことある顔だった。 「あ、牧瀬さん」 隣りに座ったのは、牧瀬だった。そして、牧瀬の隣は……。 「香澄さん!」
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