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そして、大きく頷いて、声を張り上げた。
「板谷香澄でーす!よろしくお願いしまーす」
極上の笑顔を見せて、元気良く挨拶する。とにかく、まずは明るく見せるべきと考えた結果の挨拶。で、ここで拍手がくるかと思ったが、なぜか空気が止まった。
えっ、なにか間違えた?
「えっと……。じゃ、自己紹介から始めようか?」
男性側の幹事が止まった空気を動かして立ち上がる。それを見た香澄は佳菜子の肩を叩いた。
「もしかして、まだ始まってなかったの?」
「うん、ごめん。あたしが大げさに言っちゃったね」
肩を竦めて、首を傾げて謝る佳菜子は愛嬌があって、かわいい。恥をかいてしまった香澄は文句を言いたくなったが、このかわいさに免じて許してしまう。
今夜の合コンの女性側の幹事は佳奈子で、女性側は全員大学時代の同級生で揃えていた。男子の幹事は佳奈子が勤めている会社の取引先の社員で、矢島(やじま)といった。
香澄と佳菜子は並んで座り、男側の自己紹介を聞く。男性側も矢島の大学時代の友だちを揃えていた。男性三人の自己紹介が終わり、女性に移るが、その前に佳菜子が矢島に聞く。
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