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「ちょっと待って。そちらは三人? 数合わないよね?」
「あー、ひとり遅れてくる。大丈夫、先に始めよう。絶対に来るから」
「あとから来るのならいいけど」
悪びれもなく大丈夫と軽く言われても普段の矢島を知っている佳菜子は渋々頷く。
女性側も自己紹介をして、そこにいた全員の挨拶が終わったその時……、ひとりの男性が入ってきた。
「20分も遅れてしまいまして、大変申し訳ございません。初めまして、桐山一生(きりやまいっせい)と申します。28才です。本日はこのような会にお誘いいただき、ありがとうございます。よろしくお願い致します」
息を切らせて突然現れた桐山一生と名乗る男性に女性たちは唖然としたが、「さすが一生だな!」と男性たちは笑う。
一生はみんなの反応を気にとめず、紺色のスーツジャケットの内ポケットから出した名刺をひとりひとりに渡す。
女性だけでなく、男性にまで渡そうとするから「おいおい、俺らはいらねーぞ」と笑われて、「あ、そうですね。申し訳ございません」と頭を丁寧に下げる。
その様子を見て女性たちも笑い転げる。
「なにか、おかしなこと言いましたか?」
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