第1話、謎の新聞紙

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第1話、謎の新聞紙

 梅雨が明け、夏の強い日差しが合田音町(あいだねちょう)を照らしていました。まだ歩道に残っている水たまりの上を長靴で走る若者の女性が晴れの天気を喜び、田音公園(たねこうえん)の前で深呼吸をし、再び走り出します。  若者の女性の名は今野智奈(こんのちな)です。28歳の彼女はピンクのベストに白のシャツと花柄のロングスカートに青のリボンが付いた白の長靴を履いていました。  茶髪のロングヘアの智奈は友人3人と合田音町のトラニャンカフェで待ち合わせをしていたため、急いでいたようです。慌てながらカフェの入り口を入ります。  カフェの入り口を智奈が入るとき、勢いが良すぎたか、カランコロンと音があまりにもすごく、トラニャンカフェにいたお客さんたちが一斉に振り返りました。  恥ずかしくなった智奈は下を向きながら、友人3人のいたテーブル席の方に行きます。智奈の友人たちは久々の再会を喜び合っていました。  トラニャンカフェでコーヒーとオススメのトラニャンスイーツケーキを注文した智奈たちはそれぞれ、近況を報告し合います。  智奈の友人たちの近況報告の多くは就職の話や、結婚の話、育児の話でした。智奈は友人たちの話について行けず、黙ってケーキを食べ、コーヒーを飲んでいました。  幸い、友人たちの中で智奈についてのことを聞く者はおらず、智奈本人はほっとしたもののどこかすっきりしない気持ちになります。コーヒーを飲まずとも、苦く感じていたようです。  友人たちを笑顔で駅行きのバス停まで見送ったあと、智奈は田音公園(たねこうえん)に寄りました。この公園は智奈の散歩コースでした。  
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