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「はい、喉が渇いて。夢の世界のアイダネ町も、私が持ってるお財布のお金で使えますかね?」
「ああ、使えるよ。けど、ここんちのカフェ、テーブル席に座った瞬間から料金発生するよ」
「あ、そうなんですか。じゃあ、お茶するのよそう」
コタケに言われ、智奈はすぐにテーブル席から離れました。
「君、気を付けた方がいいよ。あ、現実世界の帰り方、知りたい?」
「コタケさん、知っているのですか?」
「ああ、アイダネ町の北にある宿に泊まると現実世界に帰れるよ。帰れたらいいね」
「はい、コタケさん、ありがとうございます」
「クロ、案内して」
クロとは、黒ネコの名前のようです。飼い主のコタケに頼まれ、クロは智奈をアイダネ町の北に位置する『サイッダ宿泊所』と言う宿まで案内します。
クロが帰ったあと、サイッダ宿泊所に入った智奈は入り口のドアを開けるとき、先ほどのコタケが言っていたことを思い出していました。
彼女は首を横に振り、サイッダ宿泊所の入り口のドアをそうっと開けます。中のロビーは広く、受付に立っていた智奈と同じ年くらいの水色の着物を着た女性が出迎えてくれました。
「いらっしゃい、コタケ様ご紹介のお客様1名様ですね。ただ今、ご案内します」
「コタケ様ご紹介? あ、あの、私、ちがうかも……」
と、智奈は受付の女性に言うと、彼女はにっこりと笑い、
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