3人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの、マリョクイムシって?」
「マリョクイムシはそのままの意味になりまして、魔力を食べる害虫です。何と、シーツを食べてしまったのですね」
「あの、シーツなしでも私、寝られますよ。だって、元の世界に帰れるのですよね。そんなに困ることないと思います」
智奈がそう言いますが、受付の女性の表情は暗くなる一方です。
「お客様が敷いているお布団はスリッ布団と申しまして、シーツにお客様が元の世界に戻れるようにスリップの魔法を仕掛けてありました。まさか、マリョクイムシが発生するなんて。お客様、大変申し訳ございません。申し上げづらいのですが、お客様、元の世界にしばらくの間、お帰りが出来なくなりました」
「!!」
受付の女性の言葉に絶句の智奈は、彼女と宿泊部屋の中でしばらくの間、固まってしまったのでした。
最初のコメントを投稿しよう!