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「あ、またうるさく扉を開けてしまった……」
と、顔を赤くし、下を向きながらベジタボーカフェの奥の展示スペースへ智奈は入って行ったのでした。
展示スペースに来ると、『ウサギ5羽展』と案内のボードが書かれてあり、智奈は案内ボードを見たあと、さらに奥に進みます。
すると、数々のにんじんグッズが並べてあったのです。智奈はこれまで展示会に行った経験がありませんでしたが、芸術のものを見ることは好きだったため、にんじんグッズに瞳をキラキラと輝かせていました。
彼女は携帯のカメラでにんじんグッズを撮ろうとします。すると、
「おい、それ撮影禁止だぞ」
と、男性の声がしました。男性の声がしたものの、智奈はにんじんグッズが並べられていたテーブルの先にいた黒ネコが目に入ります。
「黒ネコさん、ここにいたんだ」
「悪いね、はぐれて。先を歩いて振り返ったら、君がいなくなっていてね。もしかすると、ここに来るかもしれないと思って、ご主人様と待っていたんだ」
「ご主人様? どこ?」
智奈が左右キョロキョロしていると、
「いるよ、目の前に」
黒ネコに言われたことにより、目の前にいた30代くらいの男性に気づかず、智奈は飛び上がってしまっていました。
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