第1話、謎の新聞紙

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 「そのにんじんグッズ、撮影禁止だぞ。何てな」  そう言ったあと、男性は首に掛けていたカメラをポケットから出した布で磨きます。  「良かったです。撮影禁止じゃなくて」  「君、写真撮るの好き?」  「はい、でも、写真というより、目の前にあるグッズを作る方に興味あって」  男性の質問に、にこっと答えた智奈です。  「……自覚なしってところか。にんじんグッズは見えているのに、君は目の前だったり、本当にしたいこと、既に将来に向けて始めていることが見えていないんだな。こりゃ、自覚するの当分先か」  「あの、何をおっしゃっているのですか?」  わけの分からないことを言っていた男性に智奈は首を傾げていました。  「いや、オレのこと誰だこの人って感じだよな。オレは夢芽トピの記者のコタケだ。漢字だと小さな竹と書いて小竹。現実世界の人間で、夢の世界の方の新聞社と掛け持ちして夢芽トピの記事を書いている。夢の世界の方の新聞社の方が働き方が楽だぞ。思うように取材が出来て」  「すごいですね、コタケさん」  「これでも記者になるまで、何社か面接落ちたことあるオレにすごいって言う君の方がすごいよ」
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