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「いいえ、そんなことないです。私は……」
就職や結婚しているわけではないと、自分のことを智奈が話そうとすると、コタケが鼻で笑います。
「ふっ、すごいよな、君はカフェの入り口ドアを勢い良く開けたりさ。オレ、現実世界にあるトラニャンカフェで最近よくお茶するんだけど、君のあのドアの乱暴な開け方! もうちょっとさ、もうちょっと優しく開けられないの? 何が入って来たかと思ったじゃん?」
こう冷やかすコタケに智奈は苦笑し、一歩後ろに下がっていました。
「私、そんなに乱暴でした?」
「そりゃあもう」
「自宅の玄関ドアが重いから、癖でカフェの入り口のドアを開けるとき、力を入れてしまうのですよ」
智奈が説明すると、コタケは少しの間、彼女の顔を見つめ、真面目な表情になりますが、またすぐに智奈を冷やかしてきました。
「カフェのドアはもうちょっと軽い力でいいんだよ。勢い良く開けるとどこのモンスターが入ってきたんだって思われて仕方ないよ」
「はははは……」
と、智奈は笑っていたけれども、コタケに心を許してはいけないと思ったようです。また一歩後ろに下がり、ベジタボーカフェでお茶することにします。
「君、お茶するのか?」
テーブル席に座ろうとしていた智奈を止めるように声を掛けたコタケです。
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