ミナミ先輩は嘘が嫌い

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『ずっとずっと一緒だと思ってたのに』  幼馴染みの声で、目が覚めた。 でも、ここに幼馴染みがいるはずもないし、幼馴染みの姿はみえないので幻聴だとわかる。 そのままぼーっとしていると電話がかかってきた。 <みーちゃん>からだ。 「おっはー、埜崎ミナミだよ!」 「おはようございます。ミナミ先輩、まだ五時なのにどうしたんですか」 「でも貴方は起きていたでしょ?」 「そうですけど」 「貴方の幼馴染みはもういない」 「……」 「じゃ、また学校で会おーね」  電話が切れた。 先輩にはすべてお見通しらしい。 僕は何も考えたくなくて読書する事にした。  それからの日々は何の変哲もなく過ぎていたと思う。 表面的には。 先輩に時々ショッピングに連れ出されたりして。 ミス研でミナミ先輩や他の先輩と巫山戯たりして。 ごく、普通の日常だった。 幽霊が視える僕が普通に過ごせただけで良かった。 そんな日常が長く続かないと理解した時、ミナミ先輩と会ってから二ヶ月ほど経った頃だった。 すべてが終わったのは。  朝起きると、頭が痛くて痛くてたまらなかった。 ズキズキズキズキズキ。 でもテストも近いので学校を休む訳にもいかなかった。 家を出て、学校へ行く。 ズキズキズキズキズキ。 授業を受けて、弁当を食べて、また授業を受ける。 ズキズキズキズキズキ。 ホームルームが終わって、部室へ行こうとした。 ズキズキズキズキズキ。 部室棟の入り口の前に、幼馴染みがいた。 オ サ ナ ナ ジ ミ ? ズキズキズキズキズキ。 ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ。 ズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキズキ………… 『ずっとずっと一緒だと思ってたのに』  死んだはずの。 僕の所為で死んだはずの。 幼馴染みが五年前と変わらぬ姿でそこにいた。 『アユくんは、わたしの事が嫌いだったんだね』  にっこり笑って。 幼馴染みは清々しそうな笑顔で。 僕も、五年前に戻ったような感覚。 『アユくんがわたしを嫌うなら生きている意味は?』  体が透けていて。 幽霊だとわかっているはずなのに。 幼馴染みがそこにいて、笑っている。 『アユくん、わたしを忘れないでね』  忘れられるはずもない。 目の前で。 幼馴染みが。 自殺した事なんて。 「志帆(シホ)、」  僕は、何かを言おうとして。 その瞬間。 世界は闇に包まれた。
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