海辺のポオ

2/13
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「そうだけど」  と俺はわざと面倒くさそうに言った。 「すごい! 偶然ですね」 と少女は俺の書いた『イカロスの殺人』をカバンからだして、サインをねだる。 「ガキにはまだ速い内容だぜ」 と俺は言った。 少女はムッとして、それからその気持ちを隠すように微笑んだ。 「お願いしますよぉ」 「自分を殺すな」 と俺は言った。 「金のために適当に書いた『イカロスの殺人』なんかおもしろがってんじゃねえ」  少女の顔がひきつった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!