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これ以上黙っていれば、何だかどんどん不機嫌になって、目の前の何も知らない彼に八つ当たりをしてしまいそうだ。そう思った紫月は、気持ちのままをぶつけてみることにした。
「さっきさ、嫌な夢を見たんだ。何つーか、それで寝覚めが悪いってかさ……」
「なんだ、怖い夢でも見たのか?」
遼二はクスっと笑うと、
「どうせ連休なんだし、今夜は泊まってやろうか? 一緒に寝れば怖くねえぞ」
まるで女子供をあやすかのように髪を撫でてよこしながら、しかも思考はとんでもなく違う方向にいっている。紫月はまたも苦笑させられた。
「怖い夢っつーかさ……まあ、ある意味コワイ夢ではあったけどな」
「なんだ、それ」
笑う遼二に、
――オマエが女を抱いてる夢を見た。
真顔でそう打ち明ければ、一瞬驚いたようにして瞳を見開き、ポカンと口を開けたままでこちらを見つめた。
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