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第1章 過去の追憶
白い雪が落ち葉のように舞っていた。
あの日もそうだった、
啓介は振り返る。
昨年のクリスマスイブ、啓介は和美の帰りを待っていた。
‥‥啓介、クリスマスケーキを取りに行ってくるね。
和美がウインクし、出ていった瞬間が脳裏にはっきりと焼きついている。
すぐに戻ってくるはずだった。しかしそれは永遠になかった、
和美の運転していた自動車は雪道をスリップしガードレールに激突、彼女は帰らぬ人となってしまった。
‥‥あれから一年か‥早いな!
啓介はひさびさに和美の残したスケッチブックをみる
スケッチブックには何枚も薔薇の木が書かれている。
しかし薔薇の木の幹のところに大きな目が描かれている。
不思議な絵だ、和美は何を思ってこんな奇妙な絵を書いたのだろう。
和美のあのことと関係あるのかな。
和美は啓介に度々話していた。
‥‥わたしには普通の人と違う能力があるの、未来のことかわかるというか、これって予知だよね?
啓介が出張の朝、あの飛行機に絶対乗らないで墜落するからて言われて取りやめたことがあった。
そしてそれは真実になった。あるときは誘拐犯人の隠れ家を当てたこともあった。
啓介が知ってるだけでもどれだけのことをこれから起こることを当てただろうか。
彼女は目の前にこれから起こることが映画のワンシーンのようにうつると言っていた。
でもまさか自分の運命までは予知できなかったのだろう。
啓介はほっとためいきをつき、テーブルにワインとクリスマスケーキをおいた。
時計をみると19時だった。
‥‥さあて一人きりのクリスマスパーティをやるか。
啓介は和美が亡くなってから何カ月も落ち込みショックから立ち直れなかったが、ようやく平常心にもどったのであった。
ワインボトルを空け、クリスマスケーキにナイフをいれる。
‥‥乾杯、和美
何杯かワインを空け、ケーキでおなかを満たした啓介はすごい眠気を感じた。
1時間も寝ていただろうか。
物音に気づいた啓介ははっと我にかえった。
‥‥誰だ!
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