1人が本棚に入れています
本棚に追加
番外その2 あに
病弱なくせにめちゃくちゃうるさいおとうとに比べたら、あにの方はひとことで言えば「おばかわいい」というやつでした。
間抜けなエピソードがあります。猫にも飼い主にも。
ある冬の日、電気ストーブを点けていた時のこと。猫はそういうのが好きですから、最前列を占領するのはいつものこと。
やつはしっぽが長い方でしたが、自分のことにはけっこう無頓着な感じで、身体全体でこちらを向いた状態でにゃにゃにゃととぼけていた時、しっぽはストーブの方でした。
「なんか焦げ臭くない?」と話していたところ、奴のしっぽの先から煙が上がっているのに気が付き、あわててやつをストーブから遠ざけました。
ふつう自分のしっぽの先が焦げていたら気がつくだろうと思うのに、やつは平気でいたのがおかしくて、笑ってしまいました。さいわいなことにしっぽの先の毛が無くなって地肌がむき出しになった程度で、出血もなく、その後も問題はありませんでした。毛は生えなかったけど。
もうひとつのエピソード。
NHKのEテレで0655という番組があるのをご存知でしょうか。そのミニ番組の中でさらにひとつのコーナーとして人気なものに、ねこのうたといぬのうたというのがあります。
そこで犬が苦手なものとしてよく出てくるのに、道路の側溝のフタというのがあります。散歩中の犬がめちゃくちゃ嫌がっている写真が微笑ましい感じの。
実はこの側溝のフタを有効利用するのが、うちのやつだったんです。
ご存知のように、たいていの飼い猫はトイレの時に砂箱を使いますね。これは野良にしても同様で、草むらの中などで土の地面を掘り返してトイレをしていたりします。
ウチのやつらは出会った当初は室内飼いではありませんでした。しばらくの間は外にいっしょに散歩に出かけたりしていたことがありました。
そういうある日、何を思ったのか、突然あにの方が側溝のフタの上に行き、例のおしっこポーズをし始めたのです。
する前のカキカキもした後のカキカキも不要な、しかも水洗式の手間いらず(笑)。「こいつどこでそんな技を覚えたんだ?」って感じですよね。
おそらくは、じっと観察していて犬が側溝のフタを嫌って近づかないと思ったのでしょう。そこなら安心してトイレできると(笑)。
ホントに賢いのかおばかなのかわからないけれど、この子は21才まで生きました。「死ぬ死ぬ詐欺」というエピソードがありますが、それはいつかまた。
最初のコメントを投稿しよう!