第二話 ハーレム?ここは女の園!

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第二話 ハーレム?ここは女の園!

  んー、重いな 目が覚めた。昨日の男の子が乗っかってる。 坊ちゃん刈りの襟足から汗が落ちていた。タンクトップにショートパンツ、どこにでもいそうな男の子だがかわいい顔だな? 「おはよう」 「おは」 「きみ、お名前は?」 「れん」 「れん君か、いくつ?」 指を、三か四にしたいらしい、三歳?首を振る四歳? 「うん」と言って、走って行った。  寝ていた部屋は何もなくがらんとしていた。客間かな、悪いことしたな。頭の上には段ボール、汗を吸って柔らかくなった紙が、何とか中のものを守っていた。  トイレ何処だろう。 ドアを開けると大勢いの人の声、その声をたどる、女ばっかりがいる部屋に彼女が見えた。 「あ、あの―トイレは?」 「キャー、男よ」「男がいる」「うるさい、そこ左、ちゃんとノックして」  トントン 「はーい、ちょっとまって」 又、女の声だ 「ウワー、男」「すみません、宜しいですか?」 「あー、どうぞ、フフフ」  新聞を持ってでて行った、オヤジかよ。フー、なんかすっきり。あれ?俺今までトイレ、どうしてたんだろう、下を見た、あ、おむつ!紙おむつをはいていた、きれいだということは、はっ、誰がかえた?あの子?みられた? まあいいか、済んでしまったことは帰ってこない。その上にトランクスはいてるし、シャツ、ランニング、これも新しいけど。傷、手当てしてもらっていた、なんだかな? 何で女ばっかりなんだ?いろいろ、聞かなきゃな。  さっきの所に行く、みんなが座って食事。箸を咥えたまま一斉に注がれる視線。 「あんた名前は?」 「住田好文です」 「住田、あーだから間違えたのか、ようこそ住田荘へ」 住田荘? 「印鑑。」 制服姿の天使がご飯を食べながら言った。あー、俺、そうか、やらかした? 「ねえ、あんた食事作れる?」 食事? 「まあ一通り」 「よっしゃー」 「洗濯は?」 「はいそれなりに・・・」 「ちーちゃんエライ」 「掃除もできるわよね」 掃除? 「ハア。まあ」 「ちー、お前いい拾い物した」 拾いもの? 決定、決定! それじゃいいのねと言う彼女? みんながいいでーすと言いながら手が上がる。 「住田さん」 みんなが一斉に俺のほうを向いた。 「はい?」 「うちで働きませんか?」 は、働く? お給料は少ないが三食部屋付きでどうだ!と言われた。女の園、なんか俺スゲーついてる? 「雇ってくれるんでしょうか?」 どうでもよかった、三食、部屋まであるのなら、こんないい話ないと思った。 「決まり―、じゃあ行くね」「ヤッター、後よろしく」 「行ってきまーす」「ヨッシー後よろしくね、行ってきまーす」 よ、ヨッシー? 「私も行きます、これからよろしく」「よろしくお願いします」 「もう、私も学校!」「カリンに頼んで」「寝坊する奴が悪い」  誰もいなくなった…?  ここはキッチンだろうか?テーブルの上には大量の食器と、れん君がちょこんと一人座っている。 「れん君、ご飯は?」 「まだ、おしっこー」 え、おしっこ、抱き抱えトイレに走った。パンツを下ろした。 ん?お、女?! 「ごめん、女の子だったのか?」 「れん、おんな」 「そっか、ごめんな」 れんー、住田さんー 「トイレです!」 ありがとうと言う天使。 「いいですよ、学校は?」  ア~遅刻、と言いながられんちゃんの下着をあげ、服を直し。ごめんなさいキッチン片付けてください、もう適当でいいですから、後で、カリンさんに言っておくので話聞いておいてくださいといわれた。 「怜、おじちゃんのいう事聞いてね」 「おじちゃんて、俺まだ二十三だし」 「立派なおじん、後よろしく」  ピューっとでて行ってしまった、しーんとする家の中。 「すごいね」  うんというれんちゃんを連れ、キッチンへ、ご飯、みそ汁、おかずもある、神様有難う、心が豊かになります。手を合わせ二人で食べ、片付けた。山になった食器洗い。ハア、結構しんどいな、まだふらふらする。 それでも何とか終わり、テーブルを拭いた。 冷蔵庫から、お茶を取り出すれんちゃん、それを取り、二人分 「あそこ、あそこ」 上を指さす。戸棚を開けるとチョコレート、溶けてないか? ウワー溶けてる。 「これ、冷蔵庫に入れようか?」 「牛乳」 牛乳?冷蔵庫を開けるが何もない。 「何にもないね、たべる?」 うんと言う、仕方がないから指に付けた。それにしゃぶりつく。 俺もなめた。久しぶりの甘さになんか感動。 「うめーな」 「うめー、うめー」  まったく、朝っぱらから何なのよー。  スマホをいじりながらキッチンへ入ってきた女性と目があった。 「おはようございます」 「キャー、怜こっち来な、変たーい!」 変態って、あ、これ?ランニングとトランクス姿、おかしいか? 「あ、え、あんたが住田さん?」 「はい」 「ちょっと、髪かき上げてみて」 「髪の毛ですかこれでいいですか?」 伸びきってぼさぼさの髪の毛をかき上げる、髭も伸びてきてるな。あごを擦った。 「ウワ、あ、ありがと、モテただろうね」 俺?そんなことないです、と手を振った。 「まあ、いいや、私、相田カリン、漫画家、よろしく」 漫画家なんて初めてだ。 「よろしくお願いします」 仕事を教えろと言われている。スマホを見ながらしゃべりだした。今時、学生デモ着ないジャージの上下組、色は、赤というか、あずき色?真夏なのに・・・ 「そっちが先か」 俺とれんちゃんを見ている。 「蟻に食われないようにね」 指に着いたチョコレートとれんちゃんの胸にたれたチョコレート、あーあ、すげーや。 何かをしようとしている。 「あの、お食事は?」 彼女は朝ぬきなんだそうだ、仕事柄朝食べる暇がないらしい。 コーヒーを入れ始めた。 「飲む?」 いいです。 れんちゃんを、保育園か幼稚園に連れて行くのか聞いた。 「あー、そういう事もしなきゃいけないのか、あのね」  ここ住田荘は、高校二年生の向井千夏ちゃんの両親がやっていた、女性専門の下宿。母方の親がやっていたのを受け継いだ、住田の姓はそこからなのだそうだ。だが一年前高校に入ってすぐ、事故で二人はこの世を去った、千夏は一人ででもここを継ぐと言ったところに、この子が置き去りにされた。 「お、置き去り?」 なんでこんなところに? この子の持っていたカバンから戸籍と、手紙が出てきたのだそうだ、父親は千夏の父親、よろしくとだけ書かれて置かれていた、女手一つのようで、その女を探すもいまだ音沙汰なしなのだと言う。 「死んだもんに聞く訳に行かないしね」 「誰もご存じないんですか?」  本当にそうかどうかわからない、警察に行ったが門前払い、役所に行って聞いた、転入届と、児童養護施設へ入れるかどうか千夏に聞いた、彼女はそんな施設に入れないと、つれて帰ると言ったと言う。親がなくなって寂しいのもあったのだろう、彼女は妹として育てている。手続きは親戚がしてくれたそうだ。 そしてこの住田荘は、ちゃんとした手続きで、千夏ちゃんの物になったのだそうだ、それは住人であるみんなのおかげらしい。 「あの子もさ、学校があるでしょ、みんな持ち回りでいろんなことしてきたんだけどさ、そろそろ限界で」 「俺が拾われた・・・」 「そうみたいね」 くんくんとパンツを引っ張られた。 「う、ワ、引っ張らないでね?」 「ヨッシー、洗濯」 洗濯? 「洗濯か、その前にその恰好何とかしなきゃね、それに、なんかにおうし」 「すみません、まだ風呂に入ってなくて」 私のお下がりでいいならあげると言って彼女は二階に上がって行った。 よれよれのТシャツとハーフパンツ。それをもらうと案内すると言ってついていく。 ん? 手を握るれんちゃん、まあいいか。れんちゃんはまだ、三歳、四つではないらしい。 「でも九月で四歳か、すぐだな」  二階は住居、六人が住んでいる。見せてもらった、結構広い、それに音もあんまり聞こえないのだと言う、漫画家だから、アシスタントも来るし、出版社の人も来ると言う 「それに男も入って来るから」 「お、男?」 「でも一緒に住むのはなしね」 「お泊まりは?」 「想像にお任せします」 「想像・・・」 バカねと背中を叩かれた。  奥はトイレと洗面なのだそうだが、汚いのと、古くて、お湯が出なかったり、水がたまに出なかったりするようになったと言う まずは掃除かな? 下は、管理人である千夏ちゃんの部屋と今俺が寝ている部屋、食堂、風呂、シャワー室、トイレに洗面、それと洗濯機置き場。 「な、なにこれ」 「すごいでしょ、みんな、置きっぱなしでさ」 二台の洗濯機の周りには洗濯物があふれている、下着は、それぞれ名前の付いたネットに入れてある、部屋番号のついたかごにはあふれんばかりの洗濯物。 「し、下着ですか」 「いいんじゃない、気にしなくて」 そんな、気にしますと目が釘付け。 まあ、何とかなるよ、そのまま吊るしておいてもいいしさなんて簡単に言ってくれる。 「いいんですか?」 洗濯物をかき分けながら、見せてくれたのは真っ赤なブラジャー。任せる、といってわっははっと笑って、それを押し付けられた。 「おい、おい、考えさせてくださいー」 「洗濯―」 パンツを引っ張るレンちゃん、あんまり引っ張らないで―ね。 「そうだ、一回まわしておこうか、全自動ですよね」 そうだといわれた。怜ちゃんが自分の物をその山の中から探して俺によこした、着るもんがねえのかな? 洗剤とかはこれね。 なんかスゲーいっぱいある、お中元に粗品、お歳暮? ただ、一番下は濡れた箱が変形してる。れんちゃんがぐいぐい押してくるから、先にそれを入れて回した。隣もはみ出してる分取り除いて回し始めた。 隣にはドラム式の洗濯機じゃねえなこれ。 「これ、乾燥機?」 「うん、これもさー、調子悪くてさ」 ドンと叩いた。三台もある、持ったいねーの。後で見ておくか?  干すのは外にもできるからと、外から声、スリッパがあるけど、ここはトタンをつけて囲った、自分で作ったのかなと思うような造りで、雨が降っても洗濯ものはかけられるようになっていた。俺のスーツが干してあるその隣には見たくもない会社の上着。結構匂う。 「それ捨てなよ」 外から戻ってきたカリンさんがいう。 でもな? 「だから、運気が下がるの」 どうしてか聞いた。 戦士の着る鎧がそんな臭くてよれよれじゃ、何の意味もなさない、古くてもクリーニングに出して、ちゃんとしていれば見る人はちゃんと見てくれると言われた。 クリーニングもなぁ・・・ここで使われるなら必要なさそうだし。 「捨てます!」 その方がいい安くていいのが今はいっぱい出ている、でもここに住むならいらないよね、未練が無いようにした方がいいと肩を叩かれた。 未練、そうだ、俺は拾ってもらったんだ、千夏ちゃんに恩返ししなきゃ。 また、昼休みにメールか電話するって言うから、又ねと彼女は二階に行こうとした。 「あのお昼は?」 「何か出来たら呼んで」 「はい」    捨てる、ハア、スーツはな、なんかな、ん?内ポケット、あー、よかった、期限まだ五年、うれしー、内ポケットからは免許証が出て来た。 ハンガーから外した上はまだいいけれど、下はなー、こりゃすれてだめだ…よし、捨て、捨てろ!ゴミ箱に突っ込んだ。  お昼まで、洗濯機を回して、掃除をして、ふろに入った。 髭剃りは大事に使っていたがさすがにこれだけ長いと無理だった。 「フー、疲れたな、でもやれるもんだな、昨日まで食ってなかったからだろうな」 さてお昼、かかっていたカレンダーを見た、八月八日? 待て、待て、首になったのがゴールデンウイーク明け、それから二か月。 え?でも俺、あの日駅で見たのが八月三日だったよな、五日も寝てたのか?怜ちゃんが俺を下から覗き込んでいる、そうだ、飯。  彼女はずっと俺の後ろをついてくる、たまにどこかへ行っていなかったような、まあいいか。 冷蔵庫の中をのぞく、なんか中途半端に残った物ばかりチャーハン?すごい卵の数だなオムライスにするか。 こっちも冷蔵庫だな、あけると酒ばっかり、酒屋かよ。 椅子を引っ張って持ってくるとそれによじ登り俺のすることをのぞき込むレンちゃん。何を作っているの?内緒といった。キャッ、キャッと笑う声。たのしいか?そうおもいながらあいてをしてやった。ケチャップで笑い顔をかいた。もう食べていいかという、スプーンを渡した。 自分の椅子なのだろうか、こんなのあるんだ、レストランとかにある子供用の高い椅子に座りなおし、口いっぱいにケチャップをつけて大喜びしながら食べ始めた。 カリンさんを呼びに行く、階段下から声をかけた。 「オムライスですけど食べますか?」 「行くー、行きまーす」 ちゃんとサラダも付けて彼女の前に出した。 「なかなかやるね」 「そうですか?」 連絡が来たのだという。俺を見て、携帯、言いかけたけどおれの方が早く首を横に振っていた。持ってません。 家族わり、この下宿人みんなではいっているのだそうだ、用意してやると彼女が言う。 「あんたがどんな生活していたかわかるような気がする、いい、絶対、ここの住人以外と連絡取る時には、みんなの承諾をもらう事、それが出来ないんだったら携帯は持たせない」「いいんですか?」 いいけど使用料は個人で払ってもらう、取るだけであればお金はいらないだろうと言う。 「そうですね、俺からかける時は、カリンさんたちに言えばいいですもんね」 「そういう事、前は固定電話もあったんだけどさ、いらなくなっちゃったもんね」 メモとお金を渡された。 買い物、スーパーの場所、晩御飯の材料が書いてある。 これはあんたにって、必要な物かってきなって、封筒を差し出された。  中を除いた一万円札が一枚 髭剃りや、下着やなんだかんだ掛かるだろうけど最低でいいでしょうと言われた、有難(ありがた)かった、百均があるか聞いた。 スーパーの隣にある、印鑑が買える、そしたら、すぐにでもハローワークに行ける。シャチハタはあったけど、これじゃあだめだっていわれていたから。 「結構、食材があるのに買い物するんですね」 メモを見ながら、冷蔵庫や、棚を開けた。 「そうかな、今まで適当だったからな、その辺は頼むわ」 一時半、これから暑さのピークになる。 玄関には、下駄箱があり、みんなのものが入っているが、俺のだけは、傘立てのそばに置いてあった、黒い革靴はこの格好に似合わない。誰のかわからないピンクのビーサンを借り、れんちゃんとお買いもの。 トランクス、肌着、Tシャツ、綿パン、安いスニーカー、ビーサン、シャツに手を伸ばしてやめた。お金が入ってからにしよう。髭剃りと、化粧品を一つ。 ここで働かせてもらえるんだ、ありがたいと思わなきゃ。 こそこそと言う買い物客、そうか俺のこの恰好、風呂には入ったけど匂い、するんだろうな、下着、そのまんまだし。鬚もなー。 それより、長髪にひげ面、ピンク色、変態だなこりゃ。 洗剤コーナーで、消臭剤の見本を手に取りからだにふりまいた。 「どう?臭いする?」 首を振るれんちゃん。よかった。 クンと引っ張られた。下を向くとパンツを引っ張るれんちゃん。俺の手をつかむと引っ張った。 「どこいくの?」 婦人服売り場、これと言って引っ張った花柄のフリフリ、エプロン エプロンねえ、これじゃない方がいいな。 「こっちじゃ駄目かな」 普通の男女兼用の安いエプロン。 手を離さない。子供用のエプロンが目に付いた、ある、ふりふりのかわいいもの。それを手に取りしゃがんで見せた。 「これはどうかな」 首を縦にぶんぶんと振る、ほしかったのだろう、そんなに高いものじゃない、一緒にかごの中へ。まずいな、出ちゃうんじゃないかな、先に印鑑を買っておいた、もしもの時は着るもので何とかしようと思ってレジに行く。九千八百円ピッタリ、ほっとした、食品を買って帰る、ほしいのはまた今度だ。  買い物を冷蔵庫に入れた。 れんちゃんがいない。探すと俺が寝ていた布団の上。俺も眠たくなった。疲れたー。 はっとして起きた、真っ暗、あわててキッチンへ。 「よく寝た?」 「昨日の今日なのに頑張ったわね」 そう言われてうれしかった。 今いる人たちを紹介してもらった。 大久保真理さん、税理士(バリバリのキャリアウーマンか、すげー美人) 西山ゆかりさん、歯医者さんに勤務(なんかポワーンとしてかわいいな) 荻野麻美さん、大学の研究員(眼鏡に、超真面目そう) とカリンさん スゲー、スペシャリストかよ 「はい、これ、カリンから使い方は聞いたわね」 携帯、スマホを渡された。 みんなの番号とメール、ラインが入っていると言う ありがとうございます。うれしいな。 これからの話をきいた。 住んでいる人たちからは、食費込で、七万円もらっているのだそうだ、電気代だけは各部屋にメーターがあるのでそれぞれもらうのだという。メーターを見るのも仕事、払いはまとめてだからねという。これはご両親が生きていた時からの値段だそうだ。それでもカツカツだから、無駄遣いはしないように言われた。 「あの~、それ、食費の使いすぎじゃないですか?」 「あんたこれから管理してくれる?」 そこには、さっき買い物をしてきたレシートとおつりが透明な袋に入っていた。ボールペンとノートが一冊 「金庫番は真理ちゃんと、千夏がそのまますればいい」 「そういう事、給料は、月十万で何とかやりくりして、後でちゃんと計算してあげるから」 月十万、やっていけるかな、いかないと。 俺は、明日、ここへの引っ越しの届けやハローワークに行ってきてもいいか聞いた。 「印鑑買ったんだ」 「はい」 れんちゃんを頼むと言われた。明日から、みんなの食事、雑用を言い渡された。 「管理人だね」 「そうだ、なんか変なこと言われるよりその方がいいね、千夏」 「うん、それじゃあ、管理人さん、よろしくお願いします」 うー天使に頼まれた。  祝任命、ハーレム荘、管理人、でへへ。 「そういうことだ」 肩を叩かれた。 「がんばってね」 「音を上げるなよ」 「そう、そう、女だけだからって甘くないからね」 「それともう一つ、千夏に手―出すんじゃないわよ」 あれ、いつの間にか帰ってきた人たちが顔を出した。 「あはは、さえちゃん、もう一声」 「そうねー、あんたは、みんなの・・・」 「下僕」 「カリンさすが―」 「そこまでじゃないけど、みんなを守ってあげてよね、一応男なんだから、ねーナイト(騎士)君」 「な、ナイトですか?」 「めぐちゃんいいすぎー」 あら―いい男よねーと、俺の髪をあげおでこを出したと思ったらぺしっと叩かれた。 「そういうこと、そういうこと、おやすみ」 「それじゃね」 「お風呂行くー」 「明日から朝ご飯よろしく」 「明日燃えるごみ‼出してよね」 「はーい、おやすみ」 「こちらこそよろしくお願いします」 頭を下げると、笑い声が広がっていった。 ここから、俺と、彼女たちの共同生活が始まったのだった。
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