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退屈だ。 偶然同じ酒場で知り合った男が、あの有名な葉山屋の四代目だと言うからついてきたが… 『さぁさ。松島様!どうぞ一杯。 おい、もっと女を連れてこんか!』 誘われた時は失念していたが この葉山屋が盛況していたのは先代までの話。 現当主は博打と女遊びにしか興味のない能無しで 『松島様、是非ともこの葉山屋をご贔屓にしてくださいませ!』 完全に衣装に喰われてるこの葉山の奥方はひどい浪費癖があると聞いた。 そのせいで先代の蓄えも、そろそろ底をつくとか。 なるほどな。噂話とは実に役に立つ。 そういえば… 『葉山殿はご子息は?』 『あぁ…うちには息子は居りません。 病持ちの娘がひとり居りますが…… 情けないことに跡取りが居らんのです。』 こんな店なら、跡取りなど必要ないだろう。 ほっといても、直に潰れる。 『ところで松島様はご結婚は?』 『……望んではいるのですが…なかなか。 こればっかりは運もありますからね。』 『松島様でしたらどこの令嬢でも娶れるでしょうに。』 『ははは。だといいのですが。 …………失礼、ちょっと外の空気を吸って参ります』 この話題はまずい。 このままでは 「ではうちの病持ちはいかがです?」 などと言われかねない。 病持ちだと? そんなの話にならない。 すぐに壊れる不良品なぞ 誰が買うか。
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