突然の

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突然の

『おい、どこに行く。』 このジジイ…完全に気配を消してやがる。 ほんとにただの庭師か? 『また葉山のお屋敷か?』 『……さぁな。』 『はぁ………ったく。ちょっとそこ座れ。』 めんどくせぇな。 しぶしぶ座ると 『正座じゃ!バカタレ!』 『ッチ!』 『ゆきのお嬢様は諦めろ。』 『!』 1番言われたくないランキング2位の事を スパッと言われた。 『葉山家は今は低迷してるとはいえ 先代では幕府に品を献上していたほどの名門の造り酒屋だ。 異国の血の混じったガキなんざ、本来は姿を見せるのすら遠慮するべき立場だぞ。』 『………………。』 『身分が違うんだ。 それはお前が1番わかってんだろ?』 『………わかってる…… けど、ゆきのは俺が行くと嬉しそうだ。 それは悪い事か?』 ジジイは俺の頭にポンッと手を置いた。 『ここからは師匠としてじゃなく お前の父親(おやじ)として言うぞ? お前の為にも、ここでやめといた方がいい。 あのお方の病はもう………』 思いっきり手を振り払った。 『うるせぇ!うるせぇうるせぇ!! 黙れクソジジイ!!』 言われたくないランキング1位を言いやがった。 『茂虎!!』 そのまま家を飛び出した。 なんで……なんで…… なんで…… なんでゆきのは病気なんだ。 なんで大店(おおだな)の娘なんだ。 なんで俺の目は青で、髪は金色なんだ。 『あぁああぁああ!!なんでだよぉおお!!』 気付いたらそこは河原で、俺の声が水面に響いた。 『………うっるせぇな…………ガキ。』 草むらから声がする。 『酒が不味くなるだろ。 吠えるなら他所でやれ。猿が。』 『あ!?誰が猿だ!!』 がさがさと草が揺れて むくりと男が起き上がった。
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