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だけど由隆と美沙は違っていた。
お互い体を重ねたことにより幼馴染の友だちという感情から一歩も二歩も進んだ感情を持ち始めてしまい……
そんなふたりは高校生の時から付き合っていたのだと聞かされたのは、ふたりから結婚するという報告を受けた時だった。
ずっと……ずっと私は知らなかったのだ。
高校の時も大学の時も……同じ学校に通っていたのに全然気が付かなかった。
そしてお互い社会人になり、別々の道を歩き出した僅か一年目にして打ち明けられた真実だった。
(なんか私って馬鹿じゃない?)
三人仲良く付き合っているのだと思っていたのは私だけだったということに複雑な思いを抱いた。
私たちの間には【恋愛感情】というのは存在しなくて、ただ気の合う【幼馴染】という関係だけがあるのだとずっと思っていた。
(でも由隆と美沙は違っていたんだ)
あのふたりは私のいないところでは静かに愛を育んでいたのだ。
私が他の男相手に色んな恋愛事情に一喜一憂している間にもずっと……
ずっと……
──そう、私は今日という日を迎えて本当に気が付いてしまった
私ひとりだけが取り残されていたのだという事実に。
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