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-朝方のこと。僕が家を出ると見知らぬ子が現れた。小学生くらいの少女だろうか?最近引っ越してきた子だろうか?近くのことはよくわからないからなんとも言えないのだが…
その子は僕を見た瞬間にこう言い放った。「そこの人!会って早々の突然のお願いなんだけど私の世界を救ってくれないかな?!」
僕はその子を無視してそそくさとその場を去った。明らかにヤバい子じゃないか?ファンタジーにのめり込みすぎて思考回路にバグが生じたのか親が実はヤバい系の宗教に入ってるのか… 何れにせよ僕は一瞬でも立ち止まってる時間はない。急がなければいけないのだ、特にこの時間はシビアなのだから。一つでも遅ければその時点でアウトなのだ。僕の残機は一つしかないし、中間なんて甘いものは存在しない。全てを一発でいかねばならぬのだ。
まずい、時間的にこれはきついぞ… そうこうしてる間に先程の少女が後を追って来た。
「お願い!世界を救って!このままじゃ滅亡しそうなの!」
ったく、うるさいなぁ。こっちは急いでるというのに。先生からきつく言われてしまうんだよ。あんたの世界なんて知らねぇよ。ご自由に勝手に滅びていって下さい。凶悪な電波なガキに付き合ってられるかっつーの!他に宛になりそうな輩もいるんだし、そいつに頼んでくれよ。暇な輩なんてたんまりといるんだし。なんでこんな忙しそうな僕に話かけてくるんだい?そうこう思ってるうちに学校が見えてきた。
「やっと追い付いた!本当にお願い!!世界を救って!」
またあの電波の少女かよ… はぁ…ついてねぇ… 僕の周りに邪気でも憑いてるのか?後でお祓いにでもいくか?とりあえずここは即振り切ってk-
ガシッ!
突然意識が遠のいた…
目を覚ますと見慣れない世界だった…。ベアハッグでもされたのか?相当強い力で掴まれたような… 振り向くと先程の電波の少女がいた。
「これで私が嘘ツキじゃないってことが証明されたでしょ!」
そうだと思うほかなかったがこの少女は一体何者なのか?電波とかそういう類いではなさそうだが…
「私はハルっていうの。少女・ハルっていうんだ。」
ハルと名乗った少女は続けていう。
「私はある種の魔法少女なの。異世界にいけたり、そこで触れたものをこの世界に連れてきたりできるんだー!」
ふむ、それで僕の意識が飛んだというわけか。でもなぜ僕なのだろうか?
「私の能力はまだ未熟なの… 異世界にいけても到着するところはランダム… 力のさじ加減が強すぎたりもしちゃうし… 」
先程のベアハッグみたいなものはそういうことか…。
「でも私、君に嫌われちゃったかな… 私のこと電波なり思考回路がバグったなり親がヤバそうなり勝手に滅びてろなり… 完全なる暴言じゃん…」
その瞬間、僕は震えてしまった。もしかしてこの子は…
「その通り!私は人の心を完全に読める術を持ってるの!」
やはりか… ハルは厄介な子だな…
「厄介…かー… そう捉えるんだね君は…」
それはそうとしてなぜ僕なのだろうか?
「君の世界にいって、真っ先に目に入ったのが君だったから!」
単純すぎるだろ…
「私の能力ではまだ異世界にいられる時間が短いの… だから見つけたらすぐに捕まえるの!」
そんな理由でかよ… ならここの他のヤツに頼めばよくね?
「他の方たちは今滅亡を頑張って止めてて私以外はみんないないの… 」
そんな背景か… じゃあ僕は連れてこられる意味はあったのかい?
「大いにある!異世界の人は滅亡を止めるには必要だって!偉い人の言ってたことだから細かいところはよく覚えてないけど…」
細かいことはいらない。理論か… 少女だから難しいことは分かんないっていうことか?
「そういうこと♪」
んでもって今はこの子しかいないから元の世界には帰れないってことか… それでこれからどうするのか?ここには武具屋とか聖堂とか宿屋とかそういうものが一切見つからないんだけども?というか道らしきものも見つからないんだけど…
「更地とかちょっと傷つく… 」
いやそこまではいってないんだけど… もしかして地下にでもあるのか?
「地下?ここからは行けないけどこのしたに地下はあったような…」
地下は存在するにはするのか… それで空は?
「空はここから見えるけど?」
いや、そういうことじゃなくて… 空に島が浮かんでるとか…雲の上に何かあるとか…
「それならあるよ!雲の上に色々あるらしいよ!」
確証性が無さすぎる… それはそうとハルは移動系のものは何か持ってるのか?
「自分だけしか移動出来ないタイプのものしか今は持ってない… 売店はここにないことを忘れてた…」
ホントにこの子大丈夫なのか?
「大丈夫だよ!絶対!!」
先行き不安になってきた…
ハルという自称魔法少女の子に 世界を救って と言われて無理矢理この世界に来て大体2時間くらい経っただろうか 取り敢えず適当に歩いてみたものの町らしきものは何にも見えない 同じ景色ばかりが見えてくる なんかゲシュタルト崩壊を起こしそう…
「何かに憑かれてるの?」
憑かれてるというよりもずっと歩いて来たから疲れてる だな…
「邪気に憑かれてるっていってたじゃん」
あれは言い訳みたいなものだし…
「何か大変なことでもあったの?」
ハルのせいで大変なことになったんじゃないか…
「それは…私がまだ未熟だから…」
ったく… おそらくだがハルは休みの日を狙ったみたいだが都合が悪く僕は学校があった ま、終業式だったしとりまサボってもいいんだけどね とりあえずハルについていくことにすることが今はない というか人どころかモンスターさえ全然いない… 時すでに遅しで色々と滅亡した後なんじゃないか?
「滅亡なんてしてないよ!今は私しかいないだけで…」
そう思い込んでるだけで実は最初からハルしかいないんじゃないのか?
「だからそんなことないって!他にもしっかりいるの!!」
そんなことをいってると地下から何者かが出てきた 見た感じはサラマンダーだろうか?とりあえずモンスターらしきものはいるというのは確認できた サラマンダーはハルを見るや否やすぐさま逃げていった… あのサラマンダーはハルに何か恐怖心でも持っているのか…
「ね?ちゃんといたでしょ!」
たしかにいたがハルは一体何をしたんだろうか… すると地面から突然サソリらしきものが出てきた サソリはハルを見た瞬間にすぐさま引っ込んだ… ハルはモンスターになにをしたんだ…
「何もやってないはずだけど…?」
今度は人影が見えた やっとハル以外の人を見つけた… が人影は少し佇んだあと、消えた。 もうここまでくるとハルが嫌われすぎていて逆にモンスターとか人等が寄り付かなくなっているのでは… そうなると何一つとして見えなかったのも合点がいく みんながハルを避けてたから誰にも会わなかったのか… ハルは恐ろしい子なのかな…
「恐ろしい…子… 厄介から恐ろしいになったんだね… 私… 」
そういえばハルは力加減が出来ないと言っていた 魔法少女なら何かしらの魔法は打てるのか?
「 火…だけかな… まだ未熟だし…」
となるとここが更地なのは以前は色々生えてたけどハルが意図せずに燃やし尽くしてこうなった…というところか みんなハルを怖がって何も出てこなかった というのが妥当か?
「そんなことはないよ!私はみんなと仲良くしてるんだよ!!なんなら私の火を見てみる?」
ハルが放った火は線香花火の如く小さかった 。
「これだけ小さければ燃え移ることなんてない!」
ハルは強く言い張ったが、ハルは未熟な魔法少女で加減も間違える きっと何かしらの重い過去を持っているのだろう
「…やっぱり私はずっと一人ぼっちなんだ…」
ハルは一粒の涙を溢しながらそう呟いた。ハルは仲間が欲しかったのかもしれない 半ば強引にでも-
ハルはある種の最強の少女 その代償として一人ぼっちという宿命を与えられた そんな少女 ハルは泣き止むと同時に再び歩み始めた ハルの背中を見てすぐに後を追った-
しばらくすると謎の女性が現れた
「あら?見たことあるような顔ね 隣の女の子は貴殿のペット?」
ペットなんかじゃない!ハルっていう魔法少女だ!と言い返す そういえばこの女性、どこかで見たことあるような…
「我は闇の世界に生まれ、生ける者。その子、ハルちゃんって言うのね。」
「は、ハルっていいます…」
この言い回し…もしかして僕の学校にいる中二病の子か!?
「左様。この地には度々訪れているが… ハルちゃんという子は見覚えがないな 」
ハルは知らないのか… というかこの世界への行来はできるのか…
「だがある話を聞いた。とある幼女、世界を全て焼き払って滅亡の危機に瀕す、とな。」
「…違う。それは、私じゃない…」
ハルが怯えて半泣き状態になっている もしかしてハルの過去って世界を滅亡させかけてしまったことなのか?それで一人ぼっちになってしまったのか?
「私は…そんなことしたことがない…」
「無論、ハルちゃんがそのようなことをしたとは我も言っていない このような話を聞いたというだけだ だがこの怯えよう… 何か知っているな?」
「私はなにも知らない!」
僕はなるべく無心になろうとした。ハルのトラウマになってることは目に見えて明らかだったからだ。
「まあ、問い続けてもキリがない。それよりもだ、我は空腹になってしまった… 何か食べる者はあるだろうか?」
そういえばさっきサラマンダーらしきものがいた、と言った。
「サラマンダー…か。我がこの世界に来て初めて食したのがそれだったな…。それでそのサラマンダーは捕ったのか?」
いや、ハルを見ては直ぐにげた、と問い返す。
「他には何か見たか?」
サソリを見た、と答えた。
「サソリか… 12あるもののうち8番目を司り、48あるものも司りしもの… あやつは毒を持つのが厄介であるがゆえ食すのには不向き… 」
よくわからないがあるものが星座を指してることだけは分かった。他には人影を見たと伝えた。
「人影…か… 憶測だが其奴は何かしらの遠くまで見えし鏡をもっていたのであろう」
望遠鏡のことか?と返す。
「双眼鏡っていう線もあるがな… それでそのハルちゃんとやらが見えて何かを察してその場を去ったのであろう」
「やっぱり私…嫌われすぎてるのかな…」
怯えたハルが震えながら口を開いた やはりハルには重たい過去があったのか…?
中二病にはこれ以上見ていない、と伝えた。
「そうか… 仕方あるまい ここは耐えるとしよう… ところでハルちゃんはどんな術を持ち合わせているのか?」
「私が持っているものですか?火を扱い、心をよみ、ランダムに異世界へと行き、触れたものをこの世界に持ってくることです… まだ未熟ですので加減をつけられないというのがありますが…」
「ふむ、理解した。…ん?あれは…」
僕らの前に何かしらのモンスターが現れた。
「馬頭鬼か この封印されし禁断の魔眼で…」
いや、封印は中二病の常套句だから彼女に魔眼なんてものはないのでは… ん?馬頭鬼はハルを見て震えてはいるが逃げようとはしていない… 一か八か…行ってみる!ハルの炎で焼けば…
「私の火で焼けるかどうか分からないけど…やってみるね!」
馬頭鬼が燃やされていく… 馬頭鬼は唸り声を上げながら息絶えた。
「乾坤一擲にでたか 我にその思考はできなかったな 」
これが僕がこの世界にきての初めての食事だった-
馬頭鬼を食べようとした際、中二病からなにか小さなドラゴンが出てきた
「クゥも食べるー!」
「おや、我の相棒もつい出てきてしまったか」
中二病、それって…
「左様。この輝きし竜は我の相棒だ」
ということは、ペット?
「否、貴殿の伝えしことは僅かながらに違うな。クゥは我のパートナーだ。」
ペットとパートナー…同じような気もするけど
「ハルちゃんは貴殿のたった1人のパートナーだろ?」
いや、僕はただ逆ナンにあっただけで…
「先程しっかりと意思疎通をしていた ハルちゃんが例え心を読むことができる少女であったとしても焼いたのはハルちゃんが貴殿を信じていたからだろ?」
「クゥもそう思うー」
ハルがこの世界での僕のパートナー…
「私は…みんなと仲良くしたい…!」
ハルが自信をもって叫んだ ハルは…僕のパートナー… 実感はないけども… ハルはパートナー…!
「クゥも仲良くなるー」
「うん♪クゥちゃんは私の仲良しさん第2号ね!」
で中二病は…どう呼ぶか…聞いた話だと中二病は校内でもちょくちょく呼び名が変わるからなー…
「私はチューさんって呼ぶかな♪」
「…呼び方は所詮コードだ 好きにしてくれ」
あ、そういえば終業式どうなったんだ?中二病。
「その呼び方はできれば止めてほしいのだがな… 直ぐに終わったが老師達が救急搬送されたようだ それとこの世界に我の校の者がいくらか来ているのを見かけた 貴殿は見かけなかったようだが」
ということは同級生と会えるってことも…
「あり得るな さて馬頭鬼も食したことだし我も行くぞ クゥがハルちゃんになついてるみたいだから貴殿についていくことにしよう だがここは貴殿には未知のようだから我が道筋を進めよう この砂漠の道中の抜けかたは…」
だからなにもなかったのか… だがモンスターが少なすぎたのは謎だ… モンスターはハルに何かしらのことをされたのかあるいは…?
中二病…もといチューさんの背を見ながらパートナー第一号となったハルを連れて進むのであった…
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