腕が傷痕だらけの妹

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腕が傷痕だらけの妹

妹が急に泣き出したあと、なんとか落ち着かせ、今はファミレスに至る。多分腹が減っていたんだろうと思い、俺は泣いた妹を連れてファミレスに来ている…周りの視線が痛い… 「えっと…何食べたい…?」 「…。なんにも要らない。」 でも妹の腹は元気よく鳴いていた…それを隠すように腹を両手で覆っている… 「食べないと、治まらないぞ…?」 「いらない。食べたら死ねないし……。」 よく見たら、妹の腕は刃物で切ったかのような傷痕がたくさんあった。 「1日食わないくらいで、死ねないだろ…」 「いりません… 」 「…すみません、えっと、とりあえずドリンクバー2つ。後は決まってからまた呼びます…」 流石に急に入って来たのに注文しないのは失礼だと感じ、俺は店員にそう述べた。すると店員は納得したのか、バックヤードに入って行った。 「…お前、金は?」 「ある訳ない…。だって私働けないからママとパパに捨てられて、お兄ちゃんとこ来たんだよ…」 「働けないって… なんかあったのか…?とりあえず、飲み物何がいい?」 「……オレンジジュース…。」 22歳でも、味の好みはまだ未成年だった。働けないって…こいつってなんか病気持ってるっけ…? 「…何があったんだ?」 「……私、うつ病になったの…。でもお金は貯めなくちゃいけなくて…頑張って働いてたんだけど…病状、どんどん悪化して……働けなくなった…。」 「うつ病…。だから母さん達は俺にお前を預けたのか。相変わらず身勝手な両親だな。」 「私…捨てられたの……。だからもう、お兄ちゃんくらいしか頼れなくて…。」 グラスを握っている手は、震えていて、泣くのをこらえているようにもみえた。不安、なんだろう… 「なんにも出来ない…けど…。死ぬまででいい…お兄ちゃんのとこで住まわせて…ください…。」 もう死ぬって覚悟は出来てるらしいが、何回か失敗してるのはなんとなく理解した。でも俺は、妹を死なせたくなかった。 「…死ぬまでって…お前はバカなのか……。」 「だってこうするしか出来ない…。死にたくなくても、死ななくちゃいけない…。だって私働けないんだよ…?なんにも出来ないんだよ…だったらいない方がいい…。」 なんで若いやつって…そんな簡単に死ぬとか死にたいとか言えるんだ…?俺は、死んで欲しくないのに… その思いが届かないのもムカつくし、伝えられない俺自身にも腹が立っていた。
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