妹と同居

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妹と同居

生まれてから、ずっと一緒に生活してきた人間が、何を考えて生きているのか、皆さんは考えたことはありますか…? 因みに俺は、そこそこ考えたことあるつもりだった。でも人生はそんな甘くも素晴らしくも無いわけで。 父と母は米屋の店主をしていて、俺は東京に上京して声優になった。今じゃ最近のことのように感じるが、数十年前のこととは信じたくない。そんなある日、母からある一通の電話が来た。 「え、ねねもこっちに来んのか?」 「でも1人じゃ不安でしょ?だからお兄ちゃんと一緒に住めば、安心かなあって。」 「母さん、ねねだってもう20歳越えた社会人だぞ。俺と一緒に暮らすなんて、絶対嫌がるだろ…」 「そんなことないわよ?私はずっと、お兄ちゃんとねねをそばで見てきたわ。だからお互いが何を考えてるかなんてお見通しなの。」 よく言うよ… ねねのこと俺に任せっきりで仕事ばっかしてた癖に… 「まあ、俺は別に構わないけど…ねねはなんて言ってんだよ。」 「ああ、ねねには、お兄ちゃんが面倒を見てくれるって話してあるから!」 ちょっと待て。誰も1から10まで面倒を見るとは言っていないが!?!? 「いや、俺仕事してるからあんまり面倒見れないんだけど…」 「いいじゃないの!どうせ独身でしょ!」 悪かったな独身で!!! 「とにかく、明日くらいに東京着くみたいだから、駅まで迎えに行ってあげて。…後は、頼んだわよ。」 最後に母が放った一言は、まるで何時ぞやのアニメか小説でよくあるかのような捨て台詞であった。 「…なんか隠してないか母さん…。まいっか。えっと明日のスケジュールはっと…」 ねね、というのは、俺の妹だ。と言ってもかなり年が離れている。20歳くらい…かな。「今のところ仕事はないから、迎えに行けるな。」 妹と会うの、かなり久しぶりだな…しかも同居…家賃とか払うのがめんどくさくて俺に投げたんだな… 俺だってキツキツなのに、どうしろってんだ… 「…今から買い出しに行くか…。あいつがすきなのは確かラーメン…?」 でも実際は、そんなに甘くなかった。俺の妹は、ある病気を抱えていたんだってことを、明日知ることになる。
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