第1話 世界の始まり

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第1話 世界の始まり

――遥か昔。 世界の始まりは神族と魔族が共存する混沌そのものだった。 やがてその混沌から人間が生まれ出ると神族は天へと住処を変え、地上は魔族と人間のみが残された。 そこからは、永らく続く魔族と人間との争い。 それは神族と魔族のそれとは違い、対等かつ均衡した争いではなかった。 魔族は圧倒的な力で一方的に人間の群れを淘汰して行く。 それに対し人間の出来る事といえば、知恵を使い己の身を守る事。 そして繁殖を繰り返し、種の血脈を絶やさぬ事だった。 神族や魔族と違い、人間は非力で弱い。 しかし人間には「進化」という無限の可能性を持っている。 その可能性に人間は掛けていた。 何千何万何億の夜を越え、気の遠くなる様な時間と犠牲を積み重ねた先に、神にも魔にも劣らぬ「強く、勇気ある者」が現れる可能性を。 進化の先に在る、希望の光を――。 そしてその可能性は現実となり、惨敗の歴史を刻み続けて来た人間の光明となった。 その希望の光、その者の名を【アーク】という。
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