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夜は私を守ってくれる。
真夜中なら、散歩していても目立たない。しかも黒猫だから、夜の闇が
私の姿を隠してくれる。
でも夜の闇の中で、猫になった私の目がぴかーんと光ってしまうことがあるから、これだけは気をつけてる。だって気をつけないと、人間に蹴られたり、
他の猫(本当の猫ね)に追いかけられたりするから。
できるだけ目立たないようにしていれば、夜の散歩は快適なのだ。
人間では到底入れないところも、猫の私ならするっと入れる。少しくらい
危険なことがあっても、今の私なら素早く走って逃げることもできる。
たまに撫でていってくれる人間にも出会えるの。撫でられるって気持ち
いいのよ。人間だったときは知らなったな。
撫でてくれる人間は、ぽいっとおやつも投げてくれたりする。
道路に落ちたものを食べたりはしないけど(お腹壊すといけないしね)
気持ちだけはありがたくいただく。
そして他の猫におすそ分けするの。そうするとね、本当の猫たちは
私も見ても追いかけたりしなくなる。
本当に猫って最高。しかも私の正体を、誰も知らないのだもの。
夜中の散歩を楽しんで、数時間後には自室に戻る。
それだけのことだけれど、夜は私の心を不思議と癒やしてくれた。
ひとりぼっちでも、楽しく生きられるんだって思えるから。
その日も、夜中の散歩を楽しんで戻るつもりだった。
私は油断していたのかもしれない。だって、猫でいることがあまりに
快適だったから。
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