突然の危機

1/1
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

突然の危機

 その日の夜は、とある家の門構えの上でうたた寝してた。そこは風通しが 良くて、お昼寝(夜寝?)にぴったり。私のお気に入りの場所なの。  うとうとと気持ちよく寝ていたら、突然何かに襲われた。  私、何かした? 知らぬ間に縄張りに入り込んでた?   訳がわからないまま必死で応戦しようとしたけど、細い門の上で私は 完全に不利だった。相手は私よりはるかに敏捷で力も強い。門の上で 跳ねるように飛ぶから、私の攻撃なんてひとつも当たらない。  どうしよう、どうしたらいいの?  パニックに陥った私を、相手は見逃さなかった。隙をつくように、 鋭い爪で思いっきり引っ掻かかれてしまった。  痛い! すごく痛い! 爪ってことは向こうも猫なの?  必死に目を凝らすと、私と同じ黒猫だった。でも私より二回りぐらい 大きい巨大な黒猫。こんなに大きい黒猫を、今まで私は見たことがなかった。  痛みに悶え苦しむ私をあざ笑うように、巨大な黒猫は頭突きまでしてくる。 なんとか体をずらして頭突きを避けようと思った。でもそれこそ、相手の思う ツボだったようだ。私の足は門の上で滑り、あっと思った時にはそのまま 地面に向かって落ちていってしまった。受け身をする余裕すらなく、私の 体は地面にもろに叩きつけられた。  それは痛いなんてものじゃなかった。体がバラバラになるような衝撃。 呼吸が荒くなり、なんとか呼吸を整えようとすると、遅れて激しい 痛みが体を襲う。体が異次元に飛ばされるような感覚。  誰か、誰か助けて……。  ゆっくりと気を失う私を、巨大な黒猫は不気味な笑みで見下ろしていた。  
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!