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突然の危機
その日の夜は、とある家の門構えの上でうたた寝してた。そこは風通しが
良くて、お昼寝(夜寝?)にぴったり。私のお気に入りの場所なの。
うとうとと気持ちよく寝ていたら、突然何かに襲われた。
私、何かした? 知らぬ間に縄張りに入り込んでた?
訳がわからないまま必死で応戦しようとしたけど、細い門の上で私は
完全に不利だった。相手は私よりはるかに敏捷で力も強い。門の上で
跳ねるように飛ぶから、私の攻撃なんてひとつも当たらない。
どうしよう、どうしたらいいの?
パニックに陥った私を、相手は見逃さなかった。隙をつくように、
鋭い爪で思いっきり引っ掻かかれてしまった。
痛い! すごく痛い! 爪ってことは向こうも猫なの?
必死に目を凝らすと、私と同じ黒猫だった。でも私より二回りぐらい
大きい巨大な黒猫。こんなに大きい黒猫を、今まで私は見たことがなかった。
痛みに悶え苦しむ私をあざ笑うように、巨大な黒猫は頭突きまでしてくる。
なんとか体をずらして頭突きを避けようと思った。でもそれこそ、相手の思う
ツボだったようだ。私の足は門の上で滑り、あっと思った時にはそのまま
地面に向かって落ちていってしまった。受け身をする余裕すらなく、私の
体は地面にもろに叩きつけられた。
それは痛いなんてものじゃなかった。体がバラバラになるような衝撃。
呼吸が荒くなり、なんとか呼吸を整えようとすると、遅れて激しい
痛みが体を襲う。体が異次元に飛ばされるような感覚。
誰か、誰か助けて……。
ゆっくりと気を失う私を、巨大な黒猫は不気味な笑みで見下ろしていた。
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