完璧なアリバイ

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テスト最終日は久しぶりの晴天だった。 「やったー! 終わったー! うちに来てマンガ読まない?」 光一郎のお誘いに、あの日のキスを思い出してドキドキする。結局、あの後、光一郎も私を好きだったと言ってくれて、テスト勉強そっちのけでイチャイチャしていた私たちは、今回のテストはかなりマズい結果になりそうだ。 「おかえり。テストはどうだった?」 二軒目の家から顔を覗かせたのは初枝さん。子どもがいなくて夫に先立たれた彼女は、この家で一人で細々と年金暮らしをしている。 「今日の英語は結構出来たと思う」 「俺も」 私たちの報告をニコニコしながら聞いてくれている初枝さんが、あの日、真鍋のおじさんに強いお酒を持って行く手筈になっていた。 「おかえり。光一郎、お母さんの具合はどうだ?」 はす向かいの家の庭で草むしりをしていた庄吉さんが、よっこらしょと腰を伸ばした。 「だいぶいいよ。来週には退院できそうだって」 「良かったなぁ」 身重のおばさんがおじさんに突き飛ばされて転んだ時、必死におばさんを抱き上げて近くの産科まで走ったのは庄吉さんだった。おかげでおばさんもお腹の赤ちゃんも無事だった。 そのせいで庄吉さんは腰を痛めてしまったけれど、酔った真鍋のおじさんを用水路に突き飛ばすぐらいのことは俺にだって出来ると豪語していた。
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