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【15】お仕置き
あれからアザミは、五台の防犯カメラが厳重に監視している支配人ルームの奥にある私室にて阿窟と同棲を続けていた。
欲しいものを内線で注文すると、すぐにスタッフが部屋まで届けてくれる。
ただし阿窟が波老組の幹部会議や高級クラブの仕事などで地下獣宴内にいない時は、部屋から出られないため軟禁状態となった。
「はぁ……まるで今の俺は籠の中の小鳥……ってより、観光地の池の鯉だな。ひたすら飯は美味いし、このままじゃ太っちまうよ。トレーニングジムで汗を流したいが、獣士たちとの乱交パーティーになっちまうだろうしなぁ」
アザミは大きなベッドに寝転がってケータイを見たが、相変わらず新着の連絡はなかった。
地下獣宴内にいる限り地上との通信が不可能である上、これだけ大規模でありながら世間どころか「96」にすら存在を隠し続けてきた施設というだけあって、アザミの居場所を突き止めて、さらに潜入できそうな出入り口を探すのは多少時間がかかってしまうようだ。
すると支配人ルームの扉が開閉する気配がして、続けて私室の扉の横に付けられた呼び鈴が鳴らされた。
アザミが顏を出すと、若いスタッフがテーラーバッグを手渡した。
「まもなく阿窟様が地下獣宴へお戻りになられますので、こちらに着替えてお待ちくださいとのことです」
と、言いながら頬を染める。
「おぅ、ありがとな。アンタが着替えを手伝ってくれるのかい?」
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