【15】お仕置き

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「も、申し訳ありません!……あまりにもお似合いになっていたので、つい見とれてしまいました」 「そうか?だったら安心したよ!他の人たちからスーツに着られてるように見えてたらどうしようって、心配だったからさ」 「とんでもありません!本当に魅力的ですよ、このままずっと眺めていたくなるほど……あ、あの、では阿窟(あくつ)様がお待ちですので」  と、秘書は手早く汗をぬぐうと、懸命にアザミを視界から外す努力をしながら同じフロア内にある特別室へと案内したのであった。  ワインレッドの革張りの重い扉を秘書が開くと、ここ数日不在であった阿窟がすでに待っており、カウンター席から立ちあがってアザミを迎えた。 「Bravo!まさに完璧と呼ぶにふさわしい美しさ……実に素晴らしい。大イベントの開催準備のため何日も貴方様をお独りにしてしまい、大変申し訳ございませんでした。私の留守中、ちゃんといい子で待っていてくださいましたか?」 「もちろんさ。素敵なプレゼントありがとな!アンタに会いたかったぜ」  そう言って嬉しそうに笑顔を向けたアザミの厚い唇を阿窟が塞ぐ。  やがてキスは激しくなっていき、空気を求めたアザミが少しぼんやりとした表情で阿窟にしなだれかかると、 「くくっ、本日は最高にエキサイティングなショーが楽しめますよ」  と、抱きしめられながら甘ったるいハスキーボイスで囁かれた。
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