【15】お仕置き

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「心は清らかでもこれほど淫らな御体では私との情事だけでは物足りず、たくましい獣士にも抱かれてみたいという願望を持っておられるのではございませんか?」  その声に嫉妬めいた響きを感じたアザミは、この辱めが阿窟(あくつ)以外の男、つまり新人獣士ブラックパイソンとベッドで抱きあっていたことへのお仕置きなのだと直感した。  そこで乱れた息を整えるふりをしながら、今までの状況によって分かることを整理し始めた。  俺がブラックパイソンと浮気したとでも秘書が阿窟に報告したのか?  いや……今まで関わってきて、あの男はそんなタイプにゃ思えねぇ。  やはり各獣士の個室などには、オーナーの阿窟だけしか知らない隠しカメラが取り付けられていると考えるのが妥当(だとう)だろう。  警察や敵対組織と通じている者が紛れ込んでいないか監視するために、秘書にさえ知らせずに。  潜入先における予定外のゴウとの情報交換だったが、やはり用心したのは大正解だったぜ。  俺の正体がバレちまったら、エロいお仕置きどころかエグいお仕置きになっていただろうからな。  そう考えると俺が廊下で鮫尾(さめお)に襲われた一件も阿窟が隠しカメラで知り、急遽(きゅうきょ)特別試合に予定を変更、強さを認めたゴウに鮫尾を殺させようとした可能性が高い。
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