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「そんなカギヤさんと出会えたからこそ、僕と母が救われたという感謝を忘れた日はありません。それに心から貴方を愛していますから、問題ないです」
そう言って少し照れながら微笑んだ優羽に、カギヤは激しく心を打たれた。
そしてためらうことなくその華奢な体を引き寄せて、すばやく唇を重ねると、
「ありがとう。君と愛し合える幸せな男だってこと、心から誇りに思っているよ」
と、真剣な表情でまっすぐに見つめる。
「行ってくるね」
頬に熱を感じたまま、ぼんやりとカギヤの背中を見送っていた優羽は、
「……いってらっしゃい、お気をつけて」
と、左手で輝くお揃いのリングに、そっと触れたのであった。
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