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アザミ本人の意思とは関係なく常に身に纏った状態となっているフェロモンは「特化した何かを持っている男性」を性的に興奮させる上に、相手の能力が突出しているほど強い影響を及ぼす。
非常に頭が良い、高度な技術を持つ、凶暴である、地位が高い、狡猾であるなど特化内容に関する種類や善悪は問わないため、法や警察の目を欺いて暗躍している悪党であるほどアザミの甘い罠にかかってしまうのだ。
そしてアザミの向かい側に座っているカギヤは、元警視庁捜査二課で知能犯を相手に活躍したエリートでありながら、常軌を逸した鍵オタクであるために懲戒免職になってしまったという、少し変わった経歴を持っていた。
ちなみにアザミ班の頭脳でもある優秀な班員だが、アザミと長く一緒にいるとフェロモンには慣れて耐性が出来るため、もう彼が影響を受けることはない。
ビールで乾杯をしてしばらく世間話をしていた二人であったが、追加注文の料理が届き終わったところでカギヤが本題に入った。
「すみません班長、突然連絡をして」
「いや、俺も夜飯にしようと思っていたところだったからさ。ここんところ連日一人で味気なかったし、丁度良かったぜ」
「スマホからでは話しづらかったので、直接お時間いただけて助かりました。食事が美味しくなる話題じゃないかも知れませんが」
と、眉尻を下げて困ったような笑顔を見せたが、この表情はカギヤの癖である。
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