【03】消えた殺人鬼

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【03】消えた殺人鬼

「96(キューロク)」とは、警察組織が非公式に作った非合法チームである。  警察という立場である以上、どのような理由があるにせよ法律に反する行為は認められない。  例えば重要な証拠であっても入手方法が違法であった場合、裁判においては採用されないというように。  しかし相手が狡猾(こうかつ)な悪党であるほど、法を遵守(じゅんしゅ)することが証拠集めの際に障壁となってしまうこともある。  そこで違法行為も含めて手段を一切選ばずに、社会の裏側から捜査協力をする組織「96」が作られたのだ。  メンバーは警察のみならず、あらゆる分野から慎重に集められた、ずば抜けて優秀な能力や技術を持つ人材によって、班単位で構成されている。  そして言うまでもないが、その存在は絶対に世間に知られてはならないため、関係者には徹底した緘口令(かんこうれい)が敷かれていた。  そのため警察組織の上層部であっても「96」の存在を知る者は、創立メンバーを含めてごくわずかしかいない。  つまり「96」の精鋭たちが任務中に大手柄をたてたとしても、命を落とすことになっても、その功績や損失が世間に公表されることは一切ないのである。  また「96」の存在を知った者は、法の(もと)で再び社会の一員として復帰することは不可能とされている。
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