向こう側に見えるもの

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向こう側に見えるもの

 しばらく私たちは濡れるのを楽しみながら、霧の中を歩んでいく。  それは、まるで雲の中を歩いているかのような気持ちになれ、仙人が霞を食べて生活しているのも、今ならなんとなくわかった。    「ねぇ、もしかすると私たちって今スゴイことしているのかな?」    何がスゴイのか、私はわからないがウキウキと楽しそうにしている彼女をみていると、そんな気もしてくる。    「でも、この時期って短いし、時間帯もわずかなの」    これを毎日でも味わえるなら、どれだけ幸せだろうと思う。  冬は冬で、ダイアモンドダストが綺麗な時期もあるが、車を運転している父と母にしてみれば、やめてほしいらしい。    段々と頬や髪の毛、靴にいたるまで水滴がたまりだすと次に訪れるのは、薄らいでくる世界だった。    「うわぁ、もしかしてもう少しで終わり?」    私は無言で頷く、この貴重な時間は思った以上に短いのだ、それだけ太陽の光というのはパワーを持っている。  一歩進むたびに、霧の向こう側が見えて来きた。  それに伴い、太陽の光が体に付着している水分をも徐々に取り除いていく。   
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