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CEOが亡くなった。
秘書である私は遺言通り、CEOの会社用のケータイのラインやメールの対応をした。
会社名義の携帯と言ってもこちらが遊び用に使われていた。
生前、俺を探してるのは貢いだキャバ嬢か、バイアグラほしい男友達ぐらいだといっていた。
実際その通りだった。
伝説のポケモンを探すように伝説のキャバ嬢の原石を探すのが好きだったCEO。
出会いカフェにも年間パスポートが欲しいといってたぐらい、通っていた。
ただ単に一時期のタイガーウッズと一緒で性依存症なだけだったのかもしれないが。
『○月×日、 永眠しました。 お通夜は△斎場で 〇月□日、告別式は 〇月△日。なお、お通夜の後の午前3時に来ていただくと、お渡しするものがすぐ渡せます。
トータルデリバリーサービス株式会社
秘書 XXXX』
このような文面をラインである女性に送った。
午前三時、親族は告別式に備えて仮眠室で寝ている。
きっかりに女が現れた。
どのような人物かはわからないが、CEOの愛人だと推測された。 故人の遺志でこちらが用意したジュラルミンケースには5000万を入れている。
顔はパッとみ、栗山千明と吉高由里子を足して割った感じに似ている。よく見ると猟奇的、狂気的な美しさ。
まつ毛を綺麗に上げてるからかもしれない。
休日のナチュラルメイクの新地の女みたいな感じがする。
けれど、どこか闇を抱えてそうな、CEO好みの女性だった。
背はそんなに高くないが、小顔でスタイルが良かった。 もともとはラウンジよりのキャバクラで出逢ったようだった。 CEOは人材育成、社会還元といってキャバクラにお金を落とすのが好きだった。 とくに歌が異常にうまい、ヤンデレ系のキャバ嬢が好物だった。
焼香を済ませ、顔を見て少し涙を流していた。
帰り際、「ワカナさんですね」と確認して、ジュラルミンケースを渡した。
車まで運ぶのを手伝うと助手席で小1ぐらいの男の子が寝ているのが見えた。
どことなくCEOの面影があった。
「なにも聞かないでと言われてましたが、一言だけ、教えてください。 CEOはどんな人でした?」 思わず言ってみた。
その喪服姿の妖艶で凛とした女性は、
「お茶目な社長でした」
とだけ言って、
レクサスのトランクにジュラルミンケースを入れて帰って行った。
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