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「おはようございます、お義姉様。今日もお綺麗ですっ!」
「むぅ!セイン様!リィ姉様は"僕の"姉様であって、セイン様の姉様にはなりません!!」
…ディー、また連れて来たのか…。
『アンドリュー構ってないで、セインレイド様を構いなさいよ』
王宮に帰れ!の意味でこう言ったのに、ルテシー別邸にセイン様を連れて来やがった。
いや、参ったわ。
アンドリューがセイン様と争う争う。
なにしろ可愛いげないディーと違う素直な子だから周りから甘やかされてて、自分に逆らう人間見たことなかった上に、同い年。
アンドリューはセイン様が苦手みたいだけど、セイン様はアンドリューと"ああだこうだどうの"言い合うのが楽しいらしい。
「ディード兄上とお義姉様がご結婚なさったら、間違いなくお義姉様でしょ?」
セイン様の言葉に、私たち兄弟の言葉が揃った。
「「「アルディード王子との結婚はない」」」
「「………え~」」
ディーとセイン兄弟の残念声が揃ったけど、知ったこっちゃない。
ここまでは、まぁ、良かった。
だけど
「"ない"ではなくて"できない"の間違いではなくて?」
………来たのか。
暇な女だな。
「あらごきげんよう、ミリエラ嬢。…クライラ家のお嬢様って、他人の邸に来てもご挨拶なさらずとも良いって、羨ましいですわ。さすが王妃様のご実家ですこと」
王妃様(ディーとセイン様の母親)のご実家、クライラ伯爵家の令嬢ミリエラ。
私より一つ年上。
ミリエラ嬢が臨戦態勢の私を見て、スッと目を細めた。
アンドリューとセイン様が一歩下がり、手を握り会う。
ミリエラ嬢と一緒のときだけは、あんたたち仲良しよね。
しかしディーと兄様は違う。
…構えないでよ。
そんな、やたらめったら手は出ないわよ。
アッチが手を出さなければ。
「…アラアラ。下品な言葉遣いのリリティーゼ嬢にご挨拶のマナーを諭されるなんて、赤子と同じになってしまいましたわ。恥ずかしい。穴があったら入りたいですわ」
…私を赤子、だってか?
「…入れるように穴、掘りましょうか?」
すると兄様が私の斜め後ろに来た。
「あら。恥ずかしすぎて、ご自分でお入りになられるのね?喜んでお手伝いしましてよ?二度と這い上がれないように蓋を設置しますわ」
ディーがススッとミリエラ嬢の後ろに回る。
「まぁスゴイです。蓋に魔法でクライラ伯爵家の紋章をキレイに彫りますわね?『ミリエラ·ライナ·クライラ嬢よ、美しさを永遠に…』で宜しくて?」
「……………」
フッ!
勝った…!!!
勝利に酔いしれているとミリエラ嬢の姿が消えて…目の前に現れたと思ったら引っ掛かれた!
「イタッ?!ミリエラ、あんたいつも思うけど、猫か!」
言い様、頭をぶっ叩く。
「キャッ?!痛いじゃないの、この野蛮人!!!」
髪の毛を引っ張られる!
「そっちこそ、高位の貴族のご令嬢のすることか?!」
手にチョップをかます。
「そこまでだ!ロテール、リィを引き離せ!ミリエラ、いい加減にしろ!」
う~!
遣り足りん!!!
と思ったのはミリエラも同じだったようで…ふ~ふ~言ってる。
ディーに脇の下に腕を入れられ半分ぶら下がった状態になってておかしいが、おそらく私も兄様によって同じ状態だろうから我慢だ!
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