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閑話~ロキシール·ロキ·ルテシー~
『少し変わった子が君たちの元へ行くけど、彼女の望みを出来る限りで良いから叶えてあげてね?この世界を、僅かにでも発展させることができる女性になる…と思うよ』
創世神レシオール様のご神託により、我が家に娘が産まれることが分かった。
…娘、か…。
魔王を宿す王子の嫁に育ててみるか!
…と張り切ってはみたものの…。
"少し"どころか"存分"に変わった娘だった。
「どこで覚えてきたんだ?!いつスラムに行った?!」
と聞きたくなるくらい口の聞き方が悪い。
行動が雑。
親である私と妻の言うことなど、ほぼ聞かない。(何故か言葉や文字、歴史などには興味を持ち、倒れるまで勉強したが礼儀作法は程々止まり)
何故だか兄であるロテールになついて甘え、ロテールを遣いっ走りにしている強心臓。
…ロテールよ。
妹に良いようにあしらわれていることに気づいておくれ…。
そして顕著だったのが、食事に関してのアレコレ。
いやぁ、ウルサイウルサイ。
「まじゅい!リィがちゅくゆ!!しょのほーがおいちい!!!」
貴族の娘が料理なんてとんでもないと私や妻、ルテシーのコック長が言ったが聞かなかった。
それどころかコック長の前で
"てりやきそーす"
などというモノを作り、コック長のプライドをベキバキにへし折り、邸から叩き出してしまった。
リリティーゼいわく
「こんなのもちゅくえないコックチョーが、ルチェシーにひちゅよーじゃちょ思うんかー?ちっちゃいリィの方がコックチョーとゆー名のただのオッチャンより、ちゅかえりゅじょ?」
「…私はコック長と言う名のただのオッチャン…」
…コック長は泣きながら暇を申し出てきて、可哀想すぎて引き留められなかった…。
しかもリィはその後、街から若い人を三人引っ張ってきて厨房に入れたのだ!
身辺調査してからでないと、普通貴族の邸には入れられないのに。
だが二人はリィの言うことを良く聞いて勤勉で、五年経った今ではルテシーの邸には居なくてはならないほど朝昼晩の食事が楽しみである。
残りの一人は…何をやらかしたのか。
しょっちゅうリィに
「…まだ解ってないな?仕方ないな…電気ショックの刑!」
「はわっ?!解りましたスミマセン!でんきしょっくはイヤギャーーー!!!」
と叫んでいる。
"でんきしょっく"
というものがどういうものかは知らないが、光が走った後身体が棒のようになり倒れ、ビクビクと痙攣している様は…気持ち悪い。(初めて見たとき失禁していたし)
身辺調査で判った素行の悪さ。
街にコッソリ出かけたリィを拐かそうとして反撃を食らい、その親に更正を頼まれたらしい。
リィが邸に戻って来たとき二人は一緒に歩いてたが、その一人だけは網に入れられ引き摺られてきた。(小さい身体で青年を引き摺る様はホラーだった)
網に入れられた身体はビクビクと小さく跳ねていて、まるで陸に上がった魚のようだった…。
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