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「えっとえっと!うちのレレラルは魔法主体の世界です!転生したらもんの凄い魔力をプレゼントしたいと思います!」
………腹立たしい。
さっきまで頬っぺたパンパン、目の周りは青タンだったのに…。
既に跡形もない。
も一回ボコボコにしたろか?
「…あ、なんか不穏な空気が…。あ、あの莉奈様?僕は一応このレレラルの最高神レシオールですよ?」
おそるおそる言われた言葉に私は頷いた。
「うん、知ってる。最高神レシオール様が異世界のただの人間をプチッ!と潰してくれたんだよね?キャーステキ」
平坦な口調でこう言うと、レシオール様どころか乙姫様まで
「「アワワワワワ…!」」
と言う。
とても恐い人間と認定されたらしい。
「え、ゴホン。レレラルの文明は地球の中世ぐらいかなぁ…。技術チートする?」
ワクワク顔したレシオール様をバッサリ切り捨てる私。
「しないよ。メンドクサイ。それより美味しいものがたくさんあるところに転生させてほしい」
すると二人の神様は、揃って微妙な顔をした。
「美味しいもの…ね。ムリかな~。調味料が塩と胡椒しかないし、調理法も焼くと煮るしかないし…莉奈様が料理革命興せば良いよ!」
…この神様、私に何をさせたがってんだ?
ヒトを潰しといて様付けしたって、偉業なんか達成しないぞ!
「!?ヒィ…!真っ黒いオーラが僕の精神に刺さる!!わ、解った!一応自由な性質のお家のお嬢様に転生させたげる!食べ物は自分で調達してね?あ、それから食べ物に関わるなら"魔法"じゃなくて"錬金術"を学んで。理由は転生したら解るよ!あ、天照様。莉奈様に加護渡しますか?」
…あぁ。
乙姫様って、日本神話の最高神だったんだ。
「当たり前ですのん。莉奈には"幸運"を贈ろうの。…助けてあげられず、済まなんだの」
私は笑った。
だってよく考えてみれば元には戻れない以上、楽しんだ方が良いじゃない。
記憶は保持してるらしいし、今度は運が付いてる!
ノンビリしようっと!
うっすら周囲がぼやけ始め、周囲の音も静かになって行く…。
『はぁ…。彼女には悪いけど、"魔王の封印"の役割が期待できそう…』
…今、聞き捨てならないことを聞いた気がする…。
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