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魔王王子と堕天使兄様
「リィ。兄様と一緒に魔法の勉強しよ?」
私は宮原莉奈改めリリティーゼ·ミナ·ルテシー。
ルテシー辺境伯の令嬢、先日4歳になったばっかり。
私の部屋に来て話しかけてくるのは、ハニーブロンドで青い瞳の優しいお兄様、ロテール·シオン·ルテシー7歳。
…本来はルテシーの跡取りなんだけど…シェリテ侯爵家に婿入りすることになってる。
何故かって?
シェリテ侯爵家のフィアネ嬢が兄様に一目惚れしたことと、私の野望を邪魔するヤツを遠ざけるため。
私の野望、それは…!
「…リィ。またなんか企んでんのか?いい加減諦めれ」
「わっ?!アルディード王子!いつ来たんですか?!」
兄様がビクン!と身体を震わす。
「……………王子。また護衛振りきってきたの?邪魔だし(うぜぇし)護衛が可哀想。勝手に部屋に入るんじゃない帰れ」
私がすげなく言うとこの国の王子アルディードは、憎ったらしく笑った。
ロテール兄様と同じ年なのに、可愛げなんか欠片もない。
「あのなぁ。口パクで『うぜぇ』って、辺境伯爵令嬢の言葉遣いじゃないぞ」
私は視線を逸らした。
声にしない言葉まで拾うんじゃない。
私がどんな言葉でこの粘着王子を撃退しようか考えていると…。
「済みません、アルディード王子。今日は何をしに来たんですか?『今日は王子がプラプラできる時間なんてない!』って、父上言ってたんですけど」
そう。
今日はマルアール王国建国記念日。
王族は漏れ無く式典参加により、ジミ~に忙しいはず。
しかも黒髪に蜂蜜色と菫色というオッドアイのこの(スバラシイという形容詞が付く)容姿の王子は、王太子なはず。
何故、こんな辺境の地に出没してるのか…。
「…イイじゃん、そんなこと。それよりリィ。俺、"てりやきばぁがぁ"食いたい」
…あ、解った。
式典で出されてる料理、美味しくないんだな?
失敗した。
料理与えるんじゃなかった…。
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