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3歳の時王宮に出向いて挨拶したアルディード王子。
ハッキリ言って怖かった。
理由は
"今にも暗黒魔法をぶっぱなしそう"
だったから。
暗黒魔法は魔族しか使えないはずなのに、どう見ても黒い稲妻(黒雷)が王子の周りを走ってた。
暗黒魔法は禁忌魔法らしい。
というのも、総ての生き物を
"存在ごと消し飛ばす(殺すんじゃないのよ、消えちゃうの。暗黒神か!っての)"
まぁ、淑女教育の"創世神話"や"勇者忌憚"を勉強した私には、王様たちのびくつき具合が理解できた。
(あ、第一王子のアルディードは、"魔王の封印者"で封印が外れかかってる)
…強靭な精神の持ち主が"魔王の封印"を持つっていっても、ねぇ。
ヒトの子供には負担だろう。
しかも、だ。
寿命で死なないと魔王ご出現。
全世界共闘で魔王と勝負で、レレラル崩壊の危機。
勿論、封印者の意思崩壊でも魔王は顕現。
…王子の趣味とかで気を引こう。
私は周りがびくつく中、ニコニコと王子に声をかけた。(小さい子だから、多少のマナー違反は許される。特だよね?)
「初めてお目にかかります、私はリィです!趣味はお料理!王子様の趣味はなぁに?」
私の言葉に、王子の隣にいた王様と並んでいた王妃様が震えて王子を見下ろしていた。
理由?
すぐ解りましたよ。
だって王子の趣味は…。
「俺の趣味?…今は実験、かな?うちの国の生き物で実験したら不味いから、隣国を攻め落とそうかと考えてる」
………あ、これはダメなやつだ。
6歳なのに、ろくなことを考えてないや。
魔王に影響されてんな?
周り固まっちゃったじゃん!
空気を読めない振りして
「そっかぁ!じゃあリィの趣味の出来上がりを王子様にあげる~!」
そう言って紙に包んだ照り焼きバーガーを押し付けた。
捨てられる(毒殺の危険性)だろうから勿体無いけど、愛想を振り撒いてこの微妙な空気を取っ払っておこう。
…お父様お兄様。
照り焼きバーガーに執着しないでよ。
家に帰ったら作ってあげるから。
照り焼きバーガーを押し付けられた王子様は、どうしようか悩んでいたようだけど…お父様と兄様の(鋭い)視線が手元に来るので誰にも渡せず、何故か紙を剥いて
ガブリ!
とバーガーを噛んだ。
毒味は良いんか?!
と慌てたけど…ピタッと体が硬直した王子様。
目がキラリん!と光って………。
結果
王宮滞在が二週間延長。
魔王の封印、強固に再封印完了。
毎日
「リィ!てりやきばぁがぁが食べたい!」
と付きまとわれた。
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