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カーは
"自分の仕事はリィのお世話!"
とか考えているらしくいつもベッタリなのに、居ないのはおかしい。
「リィちゃん、どうかしたの?」
ご令嬢から逃げてきたらしいエルレット公子に聞いてみる。
「カー、知らない?」
エルレット公子はクイッと首を傾げると
「居ないの?…変だね。あの子はリィちゃんの荷物持つの好きなはずだよね?…まぁ、心配はないけど。あの子の攻撃力は半端ないし」
あ…それもそうか。
樽(公子)を運ぶのに頑丈に造った結果、頗る硬くて強い運搬機になったんだった。
そのうちに現れるだろ。と思ってフロアに戻ろうとすると
「…二人でコッソリ、何してるんだよ?」
目を据わらせたディーが、テラスの入り口で仁王立ちをしていた。
あれ?
そういえば二人とも、目を血走らせたご令嬢たちはどうしたんだろ?
「…ご令嬢たちは?」
端的に聞くとディーとエルレット公子は、ササッと私を盾にしてある方向を指差した。
「「ロテール(子息)に追いやった」」
あぁ、兄様が珍しくアタフタしてるや。
マルアールでは兄様が売約済みなのは知られてるから、ここまで群がられることはないもんね。(重婚okなので、金の有無を聞かれて張り付かれることはある)
私は折角のチャンスなので兄様には後で見せるとして、ノエルとドローンの成果を二人に見せた。
「…血筋、だな」
「後10年も経ったら、完全にああなるのかな…」
そして三人で皇帝の頭を見てしまった。
思ったよりもディーもエルレット公子も同情しているようだ。
…もしかして二人とも…?
二人の旋毛辺りを両手で探ると…二つのグーが、私の頭に振り下ろされた!
グワングワンする!
心配してやったのに!!!
と、遊んでる場合じゃないか。
「こっちは私がやろうか」
すると
「…その"白子豚"、本当に彼女か?」
「物凄い"雪だるま"だね。…本当に彼女?」
…顔も別人みたいだもんね。
でも厚化粧落としたら、間違いなく彼女だよ。
対峙するときにはバケツにメイク落としを入れて、タオル持参だな。
そしてコッチも"錬金術士"が必要とみた。
スッキリボディを手に入れたいんだろうな。
自分で(錬金術)やって、薬かダイエット用品造ればいいのに。
手持ち無沙汰になった私は、屑魔石で印刷機を造った。
良質の魔石で造ると自我ができるけど、壊れた魔石や削れた魔石で造った錬成物には自我はできない。
before→afterを並べて印刷しよっと。
「「リィ(ちゃん)…。これは酷い」」
出来上がった二枚の魔法紙を見て、ディーとエルレット公子は顔をひきつらせた。
「「悪魔も真っ青の所業!」」
煩いよ。
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