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証拠を持ってるらしいエルレット公子は、この国の争乱を回避しようとしてたらしい。(兄様の方が年上だけど、身分が下なので付き添いの役目)
でも、ここまで大事になると黙ってるわけにもいかないだろう。
「"カー"!ダリュス大臣をここまで弾き飛ばしておいで!!!」
静まり返ったフロアで、私は大声を出した。
「"プテラ"!デミタス殿下とおそらくセリス公女も一緒だろう。爪で引っかけて二人を連れてくるんだ!」
エルレット公子も声をあげる。
「…何故、大臣と皇子たちを…?」
アタフタする皇帝に、エルレット公子はアイテムボックスから魔法紙を取り出した。
「陛下。こちらをご覧ください」
魔法紙を読み進める皇帝の顔色が白くなっていく。
…何が書いてあるんだろ?
まぁ、いっか。
政治事なんぞ興味ないし、覚えるつもりもやるつもりもない。(この世界の貴族の女性の仕事は主にホステス。いわゆる持て成しとお茶会や夜会での情報収集。私はトテツモナク下品で出来損ないのレッテルが、ビタンッ!と貼られている。情報収集は極上だけど、錬成物売って金儲けして料理作ってるからねぇ…)
ルテシーを継いだら、領地のことは『夫』にやってもらうつもりなのさ!
他人の評価など、19+11歳というイイお年の私はびくともしないぞ!
「ムムゥ…!なんたることだ!ダリュスを呼ぶのだ!申し訳ない!」
簡単に頭を下げる皇帝陛下。
良いのか?
それで。
(なぁなぁ。ルトは何が分かってなんで仕切ってるんだ?)
という、ディーの小さい声が聞こえる。
(え?聞いてないの?!…わざと言ってないんだね。リィに良いところを見せたい&王子を出し抜きたいんだ…。きちんと立ち回らないとリィにも公子にも置いてかれるよ?なんせあの二人、中身は見かけ通りの歳じゃないんだから。オジサンとオバサン)
ゴホンっ!
ウウンっ!
公子と私で咳払いすると…兄様は口を押さえて首を竦めた。
ジロリと見やると愛想笑いをする。
バタンッ!
「や、止めてくれ~!"大事なもの"がないのに、大勢の人前に出たくない~!」
「キャアァァァ~~~!怖いですわ!!!プラプラさせないでください~!」
ドカッ!バタンッ!!
ゴロゴロゴロ…ビタンッ!!!
「グハァ~何をする?!」
転がってきた男は…デミタス皇子と一緒にきた
"最大級危険人物"
じゃないか。
そういえば挨拶もなく、いつの間にかいなくなってたっけ。
「…ディー。あの人と挨拶交わした?」
「いいや。いつの間にか消えてたぞ?リィも挨拶してないのか?」
やっぱり、こちらを避けたんだな。
「ようやくお出座しですね、ダリュス大臣。お話を伺いたいと面会の申し込みをしましたがお返事もなく、参りましたよ」
エルレット公子が、這いつくばっている男を見下ろしている。
ヴィィン!ヴィヴィィン!!!
あらら。
カーが物凄くオカンムリだ。
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