錬金術と魔法

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錬金術と魔法

「お嬢様!ドアをお開けください!!」 ドンドンと力強く叩かれるドアにチラリと目を向けたけど、全く開ける気はない。 ちなみに魔法で鍵掛けてあるので物理的には開かない。 魔法の教師なら魔法使って開けてみろやマ·ホ·ウ! …魔法に興味はないんだけどある程度は勉強したから、教師がドアに魔法を当てたらドエライ惨状にはなるかもだけどさ。(邪悪だな(笑)) 私に合わせた小さな白い椅子に座って、ガラステーブルの上のティーセットをノンビリ楽しむ。 すると 「リィお嬢様。先生追い出したらダメだと思いますよ?」 私付きのメイド"カナン"が恐る恐る声をかけてきた。 ………カナンって確か13歳って聞いてたけど、なんか老け込んでないか? ブロンドの綺麗な髪がへたってるし肌も黒ずんでるし。 でもカナンが続けた言葉に、ちょび~~~~~っとだけ悪いことをしたなぁ。と思った。 「お嬢様付きのメイドはお給金は頗る良かったけど、胃が!胃が痛くなるのです…!教師を追い出したのは何人目でしょうか…。伯爵様より『魔法教師を追い出させないでくれ。良いか?絶対だぞ?!』って厳命されているのに…。次に追い出されるのは私かもしれません…」 私はコクンと一口お茶を飲むと 「大丈夫大丈夫!カナンは追い出さないよ!…魔法教師ってさ、全力で魔法を使わせたがるんだよね~。限界まで使わないなら勉強してもいいんだけどさ。限界までまで使うと"錬金術"が使えないもの」 するとカナンが困った顔をした。 「…お嬢様。貴族は"錬金術"は使いません。お願いですから魔法のお勉強だけを…!」 私はプイッと横を向いた。 高温でただただ真っ黒に焼くだけのオーブンなんぞ、使い途がねぇんだよ! 低温で長時間じっくり焼く錬金術(オーブン)の研究がしたいんだ。 「…なんで錬金術に填まってんだよ?ドアに掛けてある悪質な魔法からして、魔法が使えない訳じゃなさそうなのに。変わった魔法が使いたいなら"てりやきばぁがぁ"三つで教えるぞ?」 「「ひゃあ?!」」 ガラステーブルの向こう側からいきなり聞こえた声に、私も後ろから声が聞こえる形になったカナンも声をあげた。 「ディー!(前に愛称で呼ばないと王宮に帰らないと居座られたのでディーと呼んでいる)女の部屋に許可なく入ってくるんじゃないって、いつも言ってるでしょーが!!!…ったく。魔法の"穴"を見つけるの、兄様より上手いんだよなぁ…」 私がギャンギャン喚くとカナンが 「アルディード様!いくらリィお嬢様が5歳のお子様でもお口が悪くても、一応!女性です。お嬢様のお作法が底辺であっても、殿下まで底辺になられたら困ります!!!」 ………なんだろ? いきなり泣きたい気分になったよ…。
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