第1章 追われる少女

10/12
前へ
/143ページ
次へ
花怜はそのまま、片瀬の前にあるスマートフォンに目を向ける。 画面に写った少女たちを見て、座ったばかりなのに立ち上がった。 「スイホリのざらめとカルメ!? うわー、これ、ゴールデンウィークのロッキングフェスだ」 花怜が立ち上がったままスマートフォンを手に持ち眺める。 彼女はスイホリの愛称で親しまれている『sweet holick』のファンの一人だ。 だから八雲も『sweet holick』について知っていた。 花怜の勢いを見て、ざらめ本人である杏子はやや引いている。 それを察し、八雲が口を開いた。 「花怜、流石に大人しくしててください。真剣な話しをしていますので」 待ちぼうけをくらっていた花怜はストレスが溜まっているらしい。 だが、八雲に言われ、大人しく座り直した。 「これ、ライブの時の写真なら、ライブ会場周辺の防犯カメラに映っているかしら」 早坂はそう言って、杏子からライブをした会場の場所を確認して、メモを取る。 「あれー?」 まだスマートフォンの画像を眺めていた花怜が口を開いた。 何かを見つけたようだ。 そのまま、スマートフォンを手に取り、まじまじと画面を見つめる。 その目線は、杏子たちが先程話していたストーカーと思われる男性に向けられていた。
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加