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画面を拡大して確認すると、花怜は鞄からある雑誌を取り出した。
コスプレファッション誌のようだ。
「それ、この人じゃないですか?」
特集で組まれていたページに写っている若い男。
ウィッグとメイク、奇抜な衣装で元の顔がよく分からないという印象を受ける。
早坂や片瀬は首をかしげていた。
「どうだろう、天宮さん」
それまで黙っていた透が口を開く。
コスプレ写真では判別しづらいだろうが、杏子は雑誌を受け取りまじまじと写真の男を見た。
花怜は自分のスマートフォンに視線を移して、何かを検索している。
「これならどうですか?」
花怜がスマートフォンを杏子の前に差し出す。その画面には、ある男性が写っていた。
SNSのプロフィール写真のようだ。
「……あっ」
スマートフォンの写真を見て杏子の顔色が変わる。
怯えた表情から、その写真の人物こそ彼女のストーカーなのだと周りの大人たちは察した。
「借りていいかしら?」
一言断って、早坂がスマートフォンをとる。隣の片瀬と一緒に男のSNSアカウントを確認した。
アカウントIDと名前をメモし、スマートフォンを花怜へと返す。
「よく見つけましたね」
「この人、読者モデルとかもやってて、モデル事務所にも登録してるんですよ。雑誌に載ってました」
花怜の情報収集力は警察顔負けで、八雲の助手としても申し分ない。
だだ、彼女は情報を整理するのが苦手なため、その情報をまとめて考えるのは八雲だ。
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