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透も花怜からもたらされた情報をノートに書き出している。
ストーカー疑惑のある男性は、霧崎悠人という二十歳の大学生だった。
学業の傍ら、雑誌などのモデルもしているらしく、名前を検索サイトに入力するとファッション誌が何件かヒットする。
「今日の件、そしてストーカーの件について詳しく調査します。何かあればすぐに警察まで連絡をしてください」
早坂はそう言って杏子に名刺を渡す。
片瀬も早坂にならって名刺を渡した。
「直接、追いかけてきたりする他にも、嫌がらせをされる例があります。不安なことや恐怖を感じることがあれば迷わず連絡をしてください」
片瀬にそう言われ、杏子は頷いて答えた。
そして、早坂と片瀬の二人は四人に一礼して席を立つ。
時刻は五時になろうとしている。
夕方、暗くなってきたこともあり、八雲たちは杏子を家まで送ることにした。
悪いからと遠慮していた杏子だが、sweet holickのファンである花怜が強引に押しきってしまった。
一目見たときから杏子が『ざらめ』だと気付いていたのだが、真剣な話をしていたために言い出さなかったという。
花怜の観察力に驚きつつ、杏子は三人と帰ることを受け入れてくれた。
所属事務所に顔を出してから帰るという杏子の先導で、辺りを警戒しながら駅前の事務所まで歩いた。
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